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残る後始末その6-2~人外決戦~


 用意した槍を4本。内2本を地面に突き刺す。刺さると同時に表面から棘のような根毛を生やし、吸い上げる効率を上げつつ、来たる衝撃で吹き飛ばない様に準備をする。

 その槍の正体と本質は根。つまり刺すことではなく根を張り吸い上げる事こそが本領。

 地中の水分を根こそぎ吸い上げ、体内を巡らせ圧縮する。

 体の中が壊れる音が聞こえる。

 植物にとって水は必要不可欠。当然体内には道管がある。ただ、それは人間における血管。水を圧縮するための器官ではない。

 当然、それは圧力で自壊する。

 最初からやらなかった理由はそこにある。

 あの巨体であれば末端の道管を犠牲にこれを使えたが、矮小な体では消滅までの時間を縮めるだけ。

 命を賭けた一か八かだ。

 地中に刺していない2本を相手(淑女)に向ける。

 体内で更に圧縮、圧縮、圧縮………圧縮の度に体の内側から壊れていく。

 極限まで圧縮させた水を相手に向けた2本の穂先から放つ。

 水圧に耐え切れず穂先が爆散し、水弾にそれが混じる。

 幸か不幸か、身を削った破片は水流によって加速。殺傷力が増すこととなった。しかし……

 「全て防げばなんの問題もありません。」

 不定形。先程の槍よりもずっと強力。だがそれでも不可視の障壁に阻まれ届かない。

 水弾が見えない壁に弾かれ水飛沫に変わる。

 「魔法ではなく身体構造を利用した武器……しかしそもそもこういった使い方を前提としてはいない構造ですねつまり、なるほど。」

 無傷。しかし相手の狙いはそこではない。淑女が狙いに気が付いた。

 水は槍とは違って形が定まっていない。故に今までは見えなかった壁の大きさと正体が水で洗い流される。壁の端で水流は後方へと流れて霧散し、見える(・・・)ようになった(・・・・・・)

 正面突破が出来ないのなら、障壁の隙間を狙えばいい。ということだ。

 現れた壁の形。それは互いを阻むように存在した。堅牢で攻撃を一切通さない。だが、その幅は無限ではない。

 水が尽きる寸前、爆発的にそれを押し出して水飛沫を派手に散らして視界を潰す。

 突き刺した根を切断して飛び上がり、水飛沫にまみれながら見えるようになった壁を回り込む。

 相手の視線は一切動いていない。飛沫で縁取りされた壁は変形している様子も新たに作られている様子もない。

 邪魔するものは、もう無い。


 寄越せ!


 首筋に向かって飛びかかる。牙は一本だけ。短く、小さく、そして鋭い。

 だが血管一本を切り裂くには十分。当たれば致命傷の致命の牙だ。

 切り裂き、死にかけたところで喰らって根を張る。

 相手に動きはない。取った。




参考サイト:https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005100114_00000


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