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悪意と恐怖を己が手中に

 やっとここまで

 『間に合わない。』

 それがシェリー=モリアーティーの結論だった。

 若人を喰った『値』が未だ生きていた安堵や、子どもを巻き込む卑劣さへの憤怒を差し置いて、目の前に迫る光景をそう判断していた。

 (教授を説得する……駄目、出来ない、今したってもう遅い!

 H.T.の軌道を反らす?それも駄目!私が傷付くとなったら教授は間違いなく最悪な方法で私を止める。

 魔法の停止、あるいは弱体化?……だめ、速過ぎて止められない(・・・・・・・・・・)!)

 走馬燈のように駆け巡る思考、そして目に焼き付く悲惨な光景。

 無邪気に笑っていた、目を輝かせていた、遊ぶ約束をした。

 そんな子ども達が笑顔と輝きを喪い、約束を果たせない光景が焼き付けられる。


 いやだ


 そんな光景は見たくない。


 やめて


 指先一つ自由に動かせない自分の体を止めようとする。


 H.T.が子ども達に迫る。もう間に合わない。最期の時が目の前に映る。


 走馬燈の様に今までの全てが頭の中を駆け巡った

 終わりにしようとした時、もうどうしようもなく追い詰められた時、人の命が終わりかけた時を思い出して…………頭の中で何か小さな音が響いた

 止められない 避けられない 弱める事も出来ない なら私は諦められるの?

 絶対に出来ない

 考えて

 出来る事を

 知っていること

 全部

 私の全部で

 諦めるのは 終わってからでいい

 今は 後悔するときでも 泣くときでも 喚くときでもない


 私が変える


 H.T.が子ども達に触れる寸前、動けるようになった

 避けることも止めることももう出来ない


 だから変える


 『犯罪術式 改変』


 この術式の正体は知っている

 本来は対象を分析して対象の魔力を用いて対象を分解させる破壊特化術式

 対象に術式を付与する必要があるかわりに相手に一定以上の魔力があればそれを使って分析と分解を伝播させ浸食して一個のものを塵にするまで止まらずに発動させ続ける事が出来る

 そして今H.T.を使って発動している術式はその応用

 自分の魔力を用いること 破壊範囲が術式の接触箇所に限定されること それらを代償として接触箇所を瞬時に塵に変え続けることで対象の強度を無視した疑似的な切断を可能にする

 浸食はしないものの肉も骨も木も無関係に切断出来てしまう

その術式部分はもう発動して止める事は出来ない

 私に出来るのはその後 この術式の性質を利用してこの術式のその先を創り出す

 チャンスは一度 最善を尽くせば成功するとは限らない 一瞬でも迷えば死 一度でも僅かに違えれば死 けれど臆する余地は無い

 仄暗(ほのぐら)い悪意を

 死への恐怖を

 自分の手の中に


 今まで積み重ねた全てが集約される

 研ぎ澄まされた集中力

 学んできた知識の数々

 踏破した数多の修羅場

 それらが一つと成る


 分解の刃が4人を捉えた。

 『犯罪術式(器物損壊罪) 改変』



 相変わらずのネーミングセンス!

 詳細は次話で教授にしてもらう予定ではありますが……

 パ一プノレ・へイズ、ザ・八ンド、火暴砕牙、傷の男(ス力一)……詳しい方が聞けばこの術式がどんなものかはお察し頂けると存じます。

 本来の使い方をした場合、指先だろうが毛先だろうが術式を付与出来れば、そして相手に一定以上の魔力があれば、それを吸い上げて端から全部を塵にすることが出来ます。

 教授が使っていた応用はそれを限定的にすることで疑似的な『防御貫通の斬撃』としていた訳です。

 真剣白刃取りしたら腕をバラされた後で頭を割られます。刃だけでなく側面にも判定があるので受ける事も致命傷。

 ただし、本来の術式が無効化されることもあります。該当者が作中に2人(・・)登場しているんですよね……

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