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犯罪術式 C.D.E.

 腕がバラバラになった様を見て文字通り目を丸くしている。

 追撃を嫌い、腕を引っ込めながら吸い上げた水で炎を一気に消火し、破壊された箇所から腕を生やして治している。やはりこの手の輩に対して変則運用では有効打にならない。

 だが、演出としては十分な効果を発揮している。

 腕の再生が終了した後、露骨に距離を取り始めた。警戒しているのは私と自分の腕をバラバラにしたH.T.。

 そうだろうさ。強度自慢の腕を布一枚で、しかも力も加えず触れるようにバラバラにしたんだ。

 妖刀に見える。得体の知れない凶器に見える。警戒される。


 「生憎と警戒して対処できる様な甘い作り方はしていないのでね。」

 こちらが手元のH.T.をひらひらと振って見せ、一端を『鳥』に変える。

 単純な折り紙。だがそれを凶器でやるとなればそれに一定の注意を向けざるを得ない。

 「生憎と簡単にタネが割れる程安易な使い方をしていないのでね。」

 『値』の体勢が崩れる。理由は簡単。頭を繋げた足が大腿部から落ちていたから。

 H.T.の一端を持ち、もう一端は細く糸状にして潜行させて術式発動。その結果が御覧の通りだ。

 当然片足前提ではない構造体が急に片足になればこうなる。

 「何時斬ったんだよ?(何時斬ったんだよ?)

 地面に崩れ落ちる前に離れた片足を投げつける。同時に腕の牙を複数本飛ばしてきた。

 「そんなことしていないよ。残念ながら。」

 体勢が崩れる隙に追撃……という筋書きを塗り潰すための苦し紛れ……

 「ではないのだろう?」

 「そんなんじゃ(そんなんじゃ)……」

 足の頭がこちらを覗く。口からは強い光源。切り離してもそれは生きて、しかも魔法の行使まで出来ると来ている。

 対処しなくてはこちらも危うい。追撃は捨てなければならない。

 「残念だね。」

 H.T.を振る。長く、長く、長く伸ばして一閃。

 H.T.が頭を通り抜け、動きが急に止まり、光も消える。

 牙は先程の腕や足同様にバラバラ。

 そして、H.T.は更に伸びて、『値』本体の上半身と下半身に致命的な離別を与えていた。



 「『犯罪術式:《■■■■■》』通称C.D.E.だ。」

 力強さは要らない。

 魔法の強さも要らない。

 鉄を切り裂く業物も要らない。

 それで破壊は成る。

 本来は■■■■■■力を用いて■■■■■身■■■■■■■■■する術式。

 厳密に言えば発動後に■■■■■用いて物体の構造を解析し、■■■■■に■■■■■で■■を行い、同時に■■■■連続する■■■■■でいない箇所に■■■転写(・・)し、同じ現象を繰り返す。一個の物が繰り返す■■■末、全てが■■■■■変わるまでこれを繰り返す。

 長所は■■に際して対象以外に被害が及ばない点・■■と違い直接的な巻き添えが発生しない点・効果量の期待値が大きい点。

 短所は発動と同時に■■■始まるが■■速度が遅い点・一度発動すると任意解除が困難な点・■■■■は付与した■■■■■■■■■■の物なので■■■■■の部分を切り離されると■■■■■■■■■する点。

 それを応用したのがこの一振り。

 力も武器も要らない。華奢な乙女が使うに相応しい術式だ。


 少しオンパロス旅行に行ってギリギリになってしまいました。申し訳ありません。

 主人公が何故かスタンド能力に目覚め、ラッシュを叩き込み、時間を10秒止め、挙句にロードローラー紛いのことをやっていたのですがこれは三部?バージョン3.0でした。

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