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狂機の天才

 「俺はこれからどうなるんだ?」

 抵抗する気は無いと、抵抗する方法は無いとばかりに残った手足を広げて見せる。

 「そうですのね……アナタが造られた時の資料は閲覧しましたの。

 私が今使っているこれらと原則同じ機能で同じ規格。ただ中枢制御装置に繋がらずに動かす事が出来て、その為に中枢部分がそれなりに高度な技術を用いて特殊な機構になっていると……。

 その性能は価値有ると評価いたしますの。

 なので、同じ規格の体部分はバラバラにして、その中枢だけ私のものにしてあげますの。

 感謝なさい。」

 「お前さんに使いこなせるのか?この百人力の天才鉄人No.0の中枢制御装置は天才の頭脳を余す所無く完全再現して、そこから更に鋼鉄の肉体を用いて経験をした……百人力の天才鉄人の先を征く天才のものだ。

 君が、君ごときが扱えるかな(・・・・・・・・・・)?」

 安っぽい、露骨に安っぽい挑発をしてやる。

 上品な嫌味や皮肉なら表情一つ変えずに流せただろうが、美の天才はその幼稚で醜い安っぽい挑発を侮辱と感じた。それが挑発として成り立つと安く見られた事に憤慨したのだ。

 『負け犬が!スクラップの!鉄屑が!言うじゃありませんの!』

 1機は一切動かさずにスピーカーとカメラの機能を維持させたまま、他の6機を駆使して12本の足を操って壊れかけの体を蹴り飛ばす。

 マイクの向こうで僅かに怒気を滲ませた息遣いが聞こえる。

 だがそれは発作的なものだったのか、あっという間に落ち着き、せせら笑う声に変わっていく。

 『そう言えば、コソコソ隠れていたアナタの存在に気付いた時、アナタについて調べるだけでなく、気になってそちらに残っている輩がいないかと、あれこれデータを調べましたの。

 ……そうしたら、アナタの他に動く輩を見つけましたの。あの子、アナタのオリジナルが随分と可愛がっていたんですのね。』

 「おい何をする気だ⁉」

 『『何をする気』じゃありませんの。アナタがコソコソやっていることが解った段階でもう手は打ちましたの。

 もうじきアナタの可愛い可愛い後輩ちゃんの悪だくみは(つい)えますの。』

 笑い声がスピーカーの向こうで聞こえる。

 「大人が子どもの邪魔をするな!お前達はもう恵まれているだろうが!自分の才能、環境、本来なら許されるはずが無いお前達はここでもう既に許されざる恵まれ方をしている。これ以上何を望むんだ⁉」

 「今ある全てを。そして、今は未だ無い、それ以上を望みますの。

 そのためには幾らあっても足りませんの。大人も子どもも関係ありませんの。

 それに、許される許されないはお前達が勝手に決めたルールの内側での話でしてよ。

 私にとって、お前達の許す許さないなんて関係ありませんの。私の知らない所で勝手に決めて勝手に閉じ込めて私を異端として狩ろうとしたお前達のルールを守る必要なんて私にはありませんの。

 お前達が私をどう見ようと、私の知ったことではありませんの。」

 その言葉にはスピーカー越しでも伝わる恨みが込められていた。


 2025年もよろしくお願いいたします。

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