機想天外
「『他人が自分を裏切っても自分は自分を裏切るな』なんて名言があるが、まさか文字通り自分が自分を裏切るなんて思わなんだ。」
左手でわざとらしく頭を抱えて見せる。生憎と右腕は砕かれてバラバラに散らばっている。
左足を失ってバランスを崩して地面に機体を転がす。切られた部分は向こうに転がっていた。
左目カメラが捉える光景。そこには見慣れた自分がいた。しかも7機。
内2機は壊したが……完全武装した7機相手では流石の『百人力の天才鉄人』の原典の力をもってしても突破は困難だった。
『ご心配には及びませんの。この失態はアナタがアナタを裏切った訳ではありませんの。
単純に私がアナタより優れているという、ただそれだけの事実ですの。』
未だ生きているマイク機能が声を拾う。自分の声にしては矢鱈と自信満々で高い声だな……
「してやられたと。そういう訳か……。」
『そうですわね、そういうことになりますの。
けれど恥じる必要なんてありませんの。私の知性がより優れていて美しかったという、ただそれだけの話ですの。
その醜態はアナタの醜さではなく、私が美し過ぎてそうなっただけですの。』
天才鉄人のスピーカー機能を使ってこちらに話しかけている。
前の発言と目線がこちらを向いている辺り、こちらの様子をモニターしているのだろう。
「後学のためにいつから気付かれていたか訊いても?気付かれるようなヘマをした覚えは無いんだが……」
それに対する答えは侮辱に対しての静かな怒りに満ちていた。
「ハッ、100の端末を私が掌握出来ないとでも思っていたんですの?
アナタが私の端末を緊急停止した段階で気付いていましたの。
偽の映像やら音声やら、あれこれと小細工はしていたようですけれど、あんな陳腐で幼稚な手段で騙せるのは子どもくらいのものですの。」
わざわざ1機を動かして焼き切れた腕をこちらに蹴り飛ばしてぶつけてくる。
余程お怒りだったらしい。
「なら、さっき聞いた3機ここにいるって情報も?」
「えぇ、当然。迎撃準備は万端に整えてあったのでアナタがしっかりここに来てくれるように釣りましたの。」
「で、釣られたと。全部解った上で踊らされていた訳だ。
勝ち目は無かった訳だ。」
「ようやくご理解頂けましたのね。出来の悪いガラクタ風情が私に勝とうなんて土台無理な話でしたの。
ただ、出来の悪いガラクタの割にはよくやったと、褒めて差し上げるくらいならしてあげますの。」
スピーカー越しに高笑いが響き渡る。
勝利宣言。
彼女にとって百人力の天才鉄人No.0をスクラップにすることがどうやら勝利条件だったらしい。
こちらとは少し違うな。
2024年最後の投稿かと思います。本年も拙作を読んで頂きありがとうございました。
本年は漫画が無事シーズン完結となり、その後アニメ化となり、私としては非常に得難い輝く一年でした。
それもこれも、皆様の応援のお陰です。重ねて感謝を。
拙いですが、2025年も書いて参りますので、来年も応援よろしくお願いいたします。




