TheBeauty&Beasty
エサは僅かな水分と栄養。人体の温度帯であれば大概の場所で勝手に生命維持をしてくれる。
目覚めぬ内は僅かなそれらを消費して体の表面に殻を作り、卵のようになって冬眠状態で過ごし続ける。冬眠している間は過度に摂取したエネルギーを消費するのを助け、代わりに体内で不足している栄養を生成してくれる。
美を追い求める上で都合の良い生き物だ。
けれど、そんな都合だけ良い生き物は存在しない。
というのも、この生き物は一定以上の刺激を与えると卵の殻を破り、冬眠状態から目覚めて活発に動き出す。
それはもう活発に。今までの沈黙と静止が嘘だったかの様に、鬱憤を晴らすべく動き出す。
そして同時に、今までの少食の反動とばかりに異常な勢いで貪り喰い始める。
水を啜る。肉を喰う。植物を噛む。そして鉄や石でさえ粉々に砕き、糧にする。
『悪食』と呼ぶのも悍ましい無差別で無限の食欲は留まる事を知らず、喰らい続ける。
その異常な食欲故にこの生き物は生態系を破壊し、喰うものが無くなれば同族まで餌とするそれは危険生物以外の何物でもない。
今までそれが人類を恐怖に陥れずに済んでいた理由は、人と生活圏を異としていたから。人の味を知る前に飢餓に殺されていたからだ。
だから安寧と均衡が保たれていた。
ラボのあちこちに隠されていた卵の殻が割れて、その中身が飛び出す。
一見すると全身真っ黒なナメクジ。だが、ナメクジにしては余りにも大きく、俊敏で、そして獰猛さに満ちていた。
先ず自分の殻を喰らう。ガリゴリと不快な音を立て、粉々になった殻を周囲に散らばしながら喰らい尽くす。
そして気付く。
まだ足りないことを。
もっと欲しいと。
なんでも良いから食いたいと。
そして、目の前にあるものを喰らう。それが毒だろうと薬だろうと単なる食物だろうと関係無い。
その鋭く堅牢な牙でもって砕けるものならなんでもいい。
飲み込み、飢餓を一時でも潤す事が出来るのならそれでいい。
目の前のものは喰らい尽くした。さあ次だ。
「行きなさい。私のために。全てを、喰らいなさい!」
最早老婆にしか見えなくなった自称美の天才。だがそんなことはどうでもいい。問題なのは彼女が吐き出したものだ。
吐き出した時の異常な消耗といい、周辺の床に穴を開けて喰い進んでいるその様といい、愛玩用や投薬用ではないことは明らかだ。
「『百人力の天才鉄人No.7』・『百人力の天才鉄人No.71』・『百人力の天才鉄人No.98』とノ情報同期完了。
この生物ガ警報の原因と断定。排除ニ移る。」
『百人力の天才鉄人No.22』の腕が鉄槌に変わり、それを叩き潰そうとした次の瞬間。
鉄人の腕が落ちた。
ブックマークがアニメ放送時期級に伸びています。感謝いたします。
それはそれとして何が起きたのでしょう?3000pv/hなんて本作基準では尋常ならざるですよ……




