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プライドは太陽より北風に向かっていく。


 照明の反射のお陰でうっすらとだが、明りに照らされていない場所にも人がいることが解った。それなりの人が集まっている。


 改めて、目の前の魔道具に向き合う。


 『百人力の天才鉄人No.44』

 それが目の前にいる機体の名前だ。

 自律/遠隔切替式人格再現魔道具内蔵多機能鉄鋼人。

 要は自分と同じ考えで同じ機能を持つ鉄の体を持った自分を作り出した訳だ。

 『不眠不休で食事は不要。病気は無く、機体(からだ)の不調は部品交換か壊して新しい機体を作り引き継ぐ事で解決できる、そして自律から遠隔に切り替えれば遠方や危険地帯を時間の浪費やリスク無く研究・調査できる。そんな素晴らしい自分か100人いる。

 これは2世代先の人間の在り方だ。』

 という自慢話を本人がしていた、とても誇らしげに。


 だが老齢になり、弱くなった自分を若い自分が目にした時にどう思うかを考えていなかった。あるいは考えていたが止められなかったのか……兎に角結果的に、半年前に自分より若く衰えの無い100体の自分に謀反を起こされ、コールドスリープをさせられることになって、今本人は冷凍保存され、作り出した100体の鋼鉄人形がこの

 今や目の前に居るのは『百人力の天才鉄人』ではなくオリジナルを凍結して成り代わろうとしたことで別物となった、ただ量産された自律/遠隔切替式人格再現魔道具内蔵多機能鉄鋼人の一機だ。


 「『実験コード:ジュニアインベスト』は与えた実験室の内部デ違法な実験を極秘裏に行い、我々最先端魔法科学技術革新総合研究所ニ害を成すところだっタ。

 相違ないカ?」


 ところどころ言葉のイントネーションが人間らしくないが、動きは人間のそれだ。

 まあ、それはそれとして……

 「No.44、私は、」

 「私は百人力の天才鉄人ダ。何度も言わせるものデはない。」

 言葉を遮られる。『何度も言わせるな』とのことだが、残念ながら相手とは初対面だし、当然そんなことを言われたのは初めてだ。

 今冷凍されている爺さんに言われたことならあるが……。

 「申し訳ありません。百人力の天才鉄人殿。」

 「謝罪を受け入レる。して、君はそういったことをした覚えがあるノかね?無いノかね?」

 「いいえ全く。

 だから私は問います。一体誰が、何の事を、『違法な実験を極秘裏に行い、我々最先端魔法科学技術革新総合研究所ニ害を成すところだった。』と言っているのでしょう?

 また、そのような実験があったとする論拠は何処にあるのでしょう?

 この場に居る天才のお歴々がよもや流言飛語に踊らされている……などということはありますまい?」

 ここに居る天才達は皆自負がある。

 自分には天賦の才があると、自分は選ばれた者だと、自分は凄い存在で他者から称賛されたい。

 認められたいと思っている。

 普通に誰がやったかを訊けば保護のためにと口を閉ざすが……

 「私が、確たる証拠を持っていますの!」

 少し揺さぶりを仕掛けるとこれこの通りだ。



 ブックマークして下さった方が増えていました。ありがとうございます。

 まだなろうラジオ大賞の応募作、一作も書けていません。今回は少ないのに。

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