6か月後、見違えて 1
参考サイト:
https://www.moriseikeigeka.com/disease/treatment_bone/#:~:text=%E7%B2%89%E7%A0%95%E9%AA%A8%E6%8A%98%EF%BC%9A,%E5%A0%B4%E5%90%88%E3%81%AB%E8%B5%B7%E3%81%93%E3%82%8B%E9%AA%A8%E6%8A%98%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/bone_fracture.html
「大丈夫、だってダシーちゃんの足、キレイだかリャ!」
拳を固く握り締め、呂律が怪しい上に意味不明な理論を口走る少女。その揺れ動く視線の先には車椅子に座った同年代の少女がいた。
「ありがとう、ミーニャちゃん。大丈夫、私、皆を、先生のことを信じてるから。」
その顔はここに来たばかりのそれとはまったく別のものだった。
それは栄養状態だとか、衛生状態だとか、身に着けているものの品質だとか、そういうものだけではない。精神的にも安定して、前を向いていた。
「ほら、励ましは良いから早く立ってみろ。
治療自体は上手くいった。一緒に足の感覚や骨、筋肉の具合を試して動く事も確認した。あとは実際に歩くだけだ。
元々栄養失調で筋肉は落ちていた。
治療している6ヶ月間は安静にして全く動かしていないから深刻な筋力の低下は起きている。
おまけにその前からまともに歩けていない。久々にやる動作だから慣れも必要だ。
あと、俺は君の先生じゃない。それは忘れないように。」
治療は上手くいった、保障しよう。
3人の健康診断をした結果、何処の医者に見せても健康優良児と診断するほどの状態だ。
ミーニャは栄養失調が深刻で、自分で咀嚼することさえ困難だったが、今は同年代の平均的な体重になっている。
点滴から始まり、流動食、病院食を経て、自分で食器を手にして普通の食事を食べられている。
そして、車椅子に座っているダシーは足の腱以前に足の骨が複数箇所折れている事が判明。腱もそうだが、骨の方を治すのに時間がかかった。
「ほらー、言いたいことがあーるならー、言わないとー。」
「がんばれ…………以上。」
暴れて噛みついた相手にすっかり懐いて、今も背中に隠れているキバリーは当然肉体も弱っていたが、それ以上に精神が弱っていた。
眠っている最中に悪夢に魘される様子はしょっちゅう。酷い時は急に飛び起きて錯乱して暴れ泣き叫んでいた。
そして、何かを落とした時のように予期しない大きな音を聞くと急に怯えて震えて泣き始め、火や刃物を見ても同様の症状が起きていた。
「大丈夫大丈夫。それは怖いけーど、夢だかーら。
ここには私がいるかーら。怖くないかーら。」
隣で眠り、暴れ、泣き叫んだ時は横に居て落ち着くまで抱き締めていた。
「大きい音が苦手なーら、これなーら大丈夫かーな?」
最初は布で出来たボールを落として見せた。下手な火と刃物の絵を見せていた。
最初はそれを見るだけで肩に力が入っていたが、見て、触り、最後にはそれらを自分で作り、描けるようになった。
「それが大丈夫なーら……次にいってみよーか。」
次に用意したのは空気を入れたボールと擬似炎、オモチャの包丁だった。
1st Full Album 「Kiss and Cry」、とても良かったです(聞きながら執筆)。ちなみに今、七海氏のリリース記念の生放送を拝聴しているのですが、ファンの方、物凄い熱量。沢山の人が聞いてくれますように。
そして、ブックマークありがとうございます。




