以心伝心も信じることも努力あってのことだと思って
面倒だ。そして厄介この上ない。
先程からの攻撃に対して怯む様子がない。
破壊箇所の再生速度には全く違いがない。
勿論本体がでしゃばって顔を見せることもない。
つまり鉢植えの居場所は、火柱上がる爆発の中で表面を溶かされながらも中の人間を焼かずに守り切った頑強頑丈なあの家の中だ。
そして、そこには自称そこそこ天才もいる。
現状、人質に取られている、あるいは鉢植えにされているという可能性は低い。
根拠は3つ。
1つ、機構の鳥が一瞬止まったこと。あの後それらは止まったがあの段階でそれだけの干渉は出来たということだ。
そして2つ、家の装甲が剥がれたこと。1.と同じ理由で人質ではないことが証明されるが、同時に今の自称そこそこ天才にはあれしか出来ないという証左にもなってしまう。
最後に3つ、もしあの頭脳が鉢植えにされていたら、あの植物がその技能や頭脳を反映させていたら、シェリー君は今頃膝をついていた。
今も私が出ずに千日手程度になっている以上、自称そこそこ天才はしぶとく隠れ、生き残っている。
さぁどうするか?
「私が援護します。そして、助けた後、私の援護をお願いします。」
そういうことになった。
「ちなみに私の知らぬ間に予め打ち合わせをしていたという事実は?」
水滴があちこちで断続的に爆発して霧の海を生み出しながら空気を揺らす。
「まったく、ありません。」
霧の海から出てくる化け物。脚部の関節から蔓が伸びてシェリー君に向かってくる。
「はは、知っていたさ。それで?
まさか『以心伝心』やら『信じているから』やら論拠無き期待であの自称そこそこ天才がこちらの都合の良い動きをしてくれるのを待つ気かね?」
蔓の動きは単純ではない、数も多い、緑色にうねる波の様だが、波は乗るために在る。
H.P.を板代わりに蔓の上を滑り、そのまま接近していく。
「そうですね、『以心伝心』や『信じる』ことは大事だと思っていますし、そうします。
ただ、以心伝心するための努力をして、こちらの考えを受け取ってもらいます。それを信じて私はやります。」
接近したシェリー君が着地して次に行ったのはまたも風の魔法。
それ単体で物理的な破壊をもたらすのは難しい風の魔法が先程まで暴れて出来た枯れ木や石の欠片を持ち上げる。
「爆発。その後に削り取ります!」
塵芥巻き上げる風が家の表面を撫でる。
『撫でる』という表現を使っているが、その実態は呑気ではなく剣呑。
無数の高速で走る塵芥が表面を斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る更に斬った物を巻き上げ斬り刻み更なる塵芥の刃へと変えてより苛烈に斬る。
表面を削り上げる。
「さて、次は何をする気かね?」
塵が巻き上げられて渦を巻き
『火』
火種が条件を整えた風と燃料に点き、燃え上がる。
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