自称そこそこ天才よ、獅子身中の虫になれ
考えろ。彼女が一体何をしようとしているのかを。何を望んでいるのかを。
そして自分はそれにどうやったら貢献できるかを考えろ。
考えろ。彼女の最優先事項が人命救助なのは明白だ。だから計2人を助けるためにコレの制圧に動いている。
人質は2人。両者同時に逃がさない限り片方を人質にされるか、最悪見せしめにされて死ぬ。
この状況で2人同時に逃がすのは現実的ではない。それならもう1人のこの家を乗っ取っている奴を引きずり出せばいい……ああそうだ。つまりそういうことだ。私が足手纏いで邪魔なんだ。
最初の爆発の正体は先程からずっと使っていた水蒸気爆発。しかも家全体が揺れていたこととほぼ同時に全方位から爆発音が聞こえたことから全包囲からの爆発だ。だがあの爆発に破片は無い上にこの家の装甲は堅牢。到底傷は付かない。
次のパチパチと硬いもの同時がぶつかった音の正体はおそらく石。しかも小石をパチンコの要領でぶつけた音だ。だが貫通した音がしない。表面が汚れるくらいのものだ。
最後の音の正体。これは詳細不明だが爆発による破片での攻撃。一般的な殺傷目的の爆発物を使った時のそれだ。表面の蔓は無事では済まないだろうが、それでもこの家が蜂の巣になる事は無いだろう。
徐々に殺傷力を上げていった。
だがこれは致命的な破壊に繋がらない。どちらかといえば損傷を与える事に重きを置いている。
あぁ、多分だが、脅威をチラつかせて本能的に防御反応を取らせ、もう1人を炙り出すため行動だ。
殺傷力を徐々に上げて傷付けない様に、そして反射的に自分の居場所を守ってしまうように……。
だが、今も同じような音が3種類、同じ順番で響いてくる事から察するに、もう1人は反射的に防御反応を取っていないらしい。
つまりだ。余程のブラフでも無い限り、人質は危険地帯に置いていない。
もっと安全な、周辺一帯を更地に変えるような爆発でもないと傷一つつかない安全な場所に置いてあるのだ。
多当然といえば当然かもしれないが、もう1人の人質は私と同じ様に家の中に潜んでいる。
実は現状、人質を2人とも助ける場合、私は助けなくても良い。もう1人を引き抜いてこれが枯れれば、私はこの狭苦しく暑苦しい閉所から自力で脱出出来るからだ。
もう1人の人質はそうもいかない。オーイのあの感じと同じだとすれば引き剥がす必要がある。もっと酷いことになっていると考えておいて良い。
あぁ、そうすると厄介なことになる。
優先度の高い人質と低い人質が並んでいる。しかも高い方は積極的に人質救出を邪魔して、最悪優先度の低い人質を盾にする。
ああ、ここに私が居なければ、もっと別の手が取れたかもしれないのに、リスクが無かったのに、居るばっかりに邪魔をしている。
考えろ。自称そこそこ天才としての在り様をここで証明して見せろ。
今自分の持っている情報は自分の居場所と自宅が植物のモンスターでみっしり詰まってロクなもてなしができないということ。
それを伝えろ。そして動かせ。獅子身中の虫になれ。
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そして、ここまで読んで下さる読者の方々に感謝を。
と、テンプレートを入力したものの、実はアニメを観たという新規の方を目撃しています。
やったーありがとうございますうれしいです!




