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歪なヒュドラ

 3カウントで機構の鳥が鳥葬を止めた。

 準備万端だったシェリー君は『蒸熱滴爆発(エクスパッション)』・『W.W.W.』・『H.P.』の3つを同時に起動し、空へ。

 機構の鳥が再起動する頃には遥か上空、自称そこそこ天才が使っていた『目』、鋼鉄で編まれた巨大怪鳥の隣だった。

 「失礼します。」

 H.P.が展開。飛ぶための翼はそのままに『目』の部分だけを塞ぐ。

 先刻の自称そこそこ天才の動きを見て、あれが俯瞰からの操作なのは一目瞭然だった。

 あれだけの飛行性能の魔道具を用意して動かすんだ。一人称視点で複数機を操作するのは現実的ではない。

 なら、あの数を俯瞰して群体として動かせるだけの、一度で全ての個体を視認出来るだけの高さにいる。

 そう予想して跳躍したシェリー君は正しかった。

 思いの外巨大だったから目だけ覆ってその機体に乗る形で降りていく。

 W.W.W.の効果、機体の飛翔性能が相俟(あいま)って溶け落ちる角砂糖の様な緩やかな落下。だが現状は緩やかとは程遠い。

 「目は封じた。あれ(・・)に手があるかは別として手動で動かすならば……その心配はないな。」

 眼下では機構の鳥達が再起動して羽ばたく様が広がっていた。

 だが、先程までとはその様子が違っていた。

 落ちて翼が欠けた個体がいた。

 枯れ木の枝に挟まった個体がいた。

 鋭利な翼の先端が地面に突き刺さった個体がいた。

 どれもこれも、先程までの男が繰っていたら容易く飛翔出来ていた個体。

 だが、翼が欠けた個体は地面をバタバタと翼で叩くだけだった。

 そして枯れ木の枝に挟まった個体は動くことさえままならなかった。

 翼の先端が地面に突き刺さった個体に至っては暴れて翼を自ら砕き折った。

 「自動制御でどうこう出来るのは単純な旋回や編隊飛行のみで、それ以上の高度な飛翔はあの自称そこそこ天才の自前の技能だったということだ。」

 損傷が軽微だった個体も文字通り烏合の衆と化していて、墜落し、ぶつかり合い、砕き合い。あぁ、一言で言い表せば醜態を晒していた。

 「技術が必要な道具を未熟な輩が盗んだところで大した脅威にはならない。

 さ、問題は一つ片付いた。だが、次はあれ(・・)が問題だ。」

 緩やかに落ちていく。だが地上の様子は緩やかとは程遠い。


 それを既存の知識で形容するのは中々に骨が折れる。

 生物の枠組みからは遠く外れ、かと言って無機物の枠組みに入れるにしても悍ましい造形をしている。

 一見すると胴体が球体の不格好な蜘蛛。だがその足は8本では足りず、更に足が途中で枝分かれしてそれぞれが回転して……違うな、表面の細い蔓が巻き付き動く様をここから見ると足の表面が螺旋を描いている様に見えているというだけだ。

 そんな蜘蛛が足だけ動かして、胴体は地面の上を無理矢理引き摺ってこちらに向かっていた。

 ご丁寧に足の一部を持ち上げて威嚇までしてくれている。

 「あれを壊すのは中々骨だ。」

 「その前に中に居るジーニアス様の救出が先です。」

 「救出は困難を極める事は肝に銘じているね?」

 「覚悟の上ですよ。その上で言ったのです。」

 「ならば良い。おっと……」

 向こうが呑気に落ちていたこちらに気付き、足を伸ばして来た。

 怪鳥が貫かれた。

 それが号砲だった。



 セアカゴケグモ、セレビィゴーレム……イメージはそこから来ています。

 ブックマーク、PVありがとうございます。お陰様で昨日今日と1万PVを超えました。本当に何が起きたのですか?


そして、偶然『未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書本当にありがとうアカウント』なるものを見つけました。

 『未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書本当にありがとうアカウント』????おそらくROSEの方、ありがとうございます。

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