アンコールの拍手喝采、それとも……
『蒸熱滴爆発』
端的に言えば水滴一つを爆弾に変えて吹き飛ばす魔法。費用対効果という点で優れているだけでなく相手にとっての視認性が最悪。こちらからすれば気付かれずに脅威度の高い攻撃を回避されずに発動出来る。
爆風による破片が自分にも飛んでくるから対処が面倒で普段は中々使えないが、シェリー君の能力のみでも十や二十の発動が出来るという点は便利だ。
これで弾幕を作れば相手にとっては非常に脅威的な魔法だ。
だが、弾幕だけがこの魔法の真骨頂ではない。
吹き飛んだ男の体が別の枯れ木に叩き付けられる。同時にその木が爆ぜる。
殺傷力を得た破片が飛び散り、同時に男の体も吹き飛んで別の枯れ木に……
その木も爆ぜる。
「水さえあれば吹き飛ばせる。その性質は脅威だ。
魔法のあるこの世界でも水はありふれて存在していて、当然ここらの地面や枯れ木の中にもそれはある。」
枯れ木に吹き飛ばされて地面を転がる男の体が更に地面が持ち上がって吹き飛ぶ。
その間、枯れ木の兵が増える事はない。
先程まで奴の動きを見ていた。人形作りをする時、触れてから動き出すまでに僅かだが時間がかかっていた。
絶えず吹き飛んでいる今の状態枯れ木に触れる暇は無く、そして今、枯れ木に触れるという事柄自体ににリスクが生まれた。
威力自体は使用者たっての希望で殺傷力は最低限。だが、停止する暇が無い。
もう、手の打ちようが無い。
「ごめんなさい、直ぐに終わらせます。」
「このまま終わらせてもらう、悪いね。」
粗くなった動きの隙間を、最早隙間というにはあまりにも巨大な穴を通り抜ける。
鋼鉄鳥弾 1羽も損傷無し。
ウノ(巨腕) 『巨腕』最早その称号は名残のみ。
1羽に苦戦をしていたところ、やっとの思いで辛勝。
数の暴力が統率された一個となって襲い掛かってくる中、先程から一度も当たっていない。
大樹のように太かった腕がみるみる削がれて細くなっていく。
大樹のように長かった腕がみるみる切られて細くなっていく。
一方的に切り刻まれて徐々に細く、力を奪われていく。
今その腕が当たったとしても鋼鉄鳥弾が砕けることはない。
「これで終わりにします。」展開された水滴が襲い掛かる
「これでおしまいだ。」展開された鉄翼が高速で飛来する。
止めの瞬間。
その瞬間が、自分が止めを刺す側だと思う瞬間が最も人を油断させる。
鉄翼の後ろの木が。
少女の後ろの気が。
人の形に豹変した。
最も危険な場所は人にやらせる。
最も美味しい場所は自分がやる。
自分は絶対に安全な場所に。
自己中心とも思わない。
自分は謙虚だから。 それが当然のことだから。
祝:評価7000に到達!
応援して下さる皆様に感謝いたします。ありがとうございます。
今年はアニメ化という大きな出来事があり、それに伴い多くの嬉しいこと、楽しいことがありました。
これらのことをバネにして、これから先も歩いて行けたらと思っています。これからも、応援よろしくお願いいたします。




