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物量戦?物理戦?どれにしても負ける気は無い。

 相手に当てるのは水滴一つ。それが次の瞬間に与えるのは一つも残さぬ破壊。

 『蒸熱滴爆発(エクスパッション)

 必要なのは水滴一つ。それを相手の体内に潜り込ませて爆ぜさせる。

 材料はありふれた水で、量も少なく済む。強力で凶悪な魔法だが、弱点もある。

 一つ目は破壊力の緻密な制御が出来ないということ。内部から爆発させるという性質上、人間に使えば血管に仕込もうが肺に仕込もうが臓物に仕込もうが胃に仕込もうが爆ぜた段階で内臓が吹っ飛ぶ。仕掛け無しなら人は死ぬ。これでは慈愛に満ちたシェリー君は絶対に使えない。

 二つ目はいくら小さな水滴でも体内に潜り込ませるという工程は複雑で煩雑。有効射程距離は非常に限られているということ。視認が困難な水滴とはいえ、警戒されていては対応される。炸裂するまであれは単なる水なので撃ち落されればそれまで。

 そして三つ目、これは二つ目に連なる要因と言える。射程距離が、つまり爆発するものと自分が近ければ爆ぜた後がこちらにとって脅威になる。

 先程までそれはただの枯れ木だった。それが強制的に生き物の様に動き、臓物も無い骨も無い体で襲い掛かって来ていた。

 爆ぜた今、その体は元の枯れ木。渇き、死んだ残りの伽藍洞。だが強度は十二分。

 それが爆風に乗ってやって来る。それに対応する事が出来ない普段は、だから使えない。


 『気流操作』


 全方位で起きた爆発で生まれた木片(凶器)の飛来がシェリー君の寸前で止まり、それらはシェリー君を中心に旋回する。

 傷一つ無い。塵一つ届いていない。動揺も無い。何故ならそれを信頼していたから。

 「流石ですね。自分の手足がとても速く、とても精密に動いていると錯覚してしまいそうです。」

 星空がその称賛に呼応して、更なる(しずく)を産み出す。

 「その考え方は危ういと苦言を呈したいところだが、……その言葉に賞賛以外の意味がみられないから、この場は敢えて、何も言わないことにしよう。」

 そうこうしている内に、枯れ木の合間を縫うようにあれは逃げていく。

 そして、小賢しいことに枯れ木の間を抜けながら手勢を増やしている。

 手勢はこちらへとなんの感情も無く向かってくる。数は先程よりもずっと多い。吹っ飛ばしたところで枯れ木はそこら中に生えている。材料は、物量戦の準備は幾らでもある。

 だがそんなことは問題にならない。(しずく)が僅かな光に反射して、一滴一滴が命中。同時に爆ぜる。

 こちらの原料は空気中の水分を凝結させたもの。使う魔力は水滴一つ分に与える分故に僅か。

 今の状況で物量戦となれば、こちらにもそれなりに勝ち目が出る。

 「いつまで続ける気かね?それとも、何かを待っているのかね?」

 意地の悪い疑問は相手に聞こえない。


 ブックマークをモチベーションに、この時間に投稿成功、です。

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