憶測でものを言って心配をかけるか正直に話すか、それが問題だ
「検査の結果が出た。3人とも3食ばっちり食べてぐっすり寝て過ごしているな。
つまり健康優良児、問題無し……だな。」
自称そこそこ天才が操作を終えて、こちらを向いてにっこり笑っていた。
「良かった……」
大きく息を吐くシェリー君の背中を軽く叩く手があった。
「だから大丈夫だって言ったさね。」
頭を掻きながら申し訳なさそうな顔を向けている。
「でも、心配させたことはごめんよぉ。」
膝に手をついて腰を直角に曲げる大男の姿があった。
「ご心配おかけしやした。そして、ありがとうございやす。」
「さて、では健康診断も終えた事ですし、仕事の報告をお願いいたします。」
家の壁にこの付近の地図を広げて商人が司会を始めた。
「この辺りの道という道や道の近くを走ってみたけれど、乗り捨てられた馬車やら乗り物やら人なんて一っつも見かけなかったよ。
そこの若旦那が賊を手懐けっちまったから阿呆な賊を蹴散らさずに楽に進めたよ。街道は綺麗なもんさ。ま、轍はまだそんなでもないから道はゴツくて尻が痛くなるけど、この前来た時よりずっと良くなってるからその辺は時間の問題さね。」
「何かに襲われる事はなかったかな?」
『誰か』ではなく『何か』と表現したのは自称そこそこ天才。健康状態は良好であの厄介な怪植物が襲い掛かった痕跡は馬車にも3人の体にも無かったが、仮定が正しければこれだけの餌を放置しておく意味は無い。
「依頼通り、ちょっとばかしおイタが出来る魔道具を背負って駆けたけど、なんにも出なかったよ。」
「あ、ルートが描けたよぉ。」
「これで間違いありやせん。」
話をしている間に残る2人が地図に蛇行する線を描いていた。
歪んでいる上に滅茶苦茶。最短距離を進むと考えれば無駄の多いルートだが、街道沿いの道を一通り走っている上に周辺の人が留まれそうな場所は網羅されている。
「一人が馬車を走らせて、もう一人がルートの選択兼ルート記入、そしてもう一人が周辺の警戒と観察。これをローテーションでやったんだけど、見付からなかったんだよ。」
「何にも、見つからなかったよぉ。」
「それは間違いありやせん。」
歯切れが悪い。明確な嘘を吐いている訳では無いが話していない比較的重要と認識している要素がある顔だ。
「気になっていることがあります。
皆さんは、どうしてここまで来る際に危険なルートを選択したのでしょうか?
それまでは比較的荒れた箇所を何度か通っているようですが、確認して戻っている様子が見受けられます。」
そう言って描かれた道を指でなぞる。一度大きく道から外れた様子は幾度も見られた。だが一度外れたら必ず戻るように線は描かれている。
「ここに来る寸前のルートだけが急に乱暴になりました。これはどういうことですか?」
3人が口籠った。
アニメが6話で終わって続編を求む声が聞こえてきました。
私も同意します。また見たい。




