暴力!暴力!暴力!
少し血生臭い上に痛いお話なので苦手な方は閲覧注意でお願いいたします。
全身が痛い。目が回る。気持ち悪い。鼻が痛くて鼻水出てきた。口が鉄臭い。頭が揺れる。体が起こせない。目を開けて見ているのに見えているものがぐちゃぐちゃ。
痛い、ダルい、気持ち悪い。何をした?殴ったな。
この馬鹿力野郎!
言葉にしようとして、呂律が回らない。
立ち上がろうとしているのに体が動こうとしない。
気持ちが悪い。痛い。この状態から抜け出したい。
「…………………………」
「なにすんだ?痛い。」
呂律が回らないなりに腐れ縁の乱暴者に非難の言葉を告げる。
奇妙だった。いつもなら静かにしろと言っても口を塞いでも眠っていても五月蠅い乱暴者が、それに対して何も答えない。
「…………………………」
腕が何かに掴まれる。まだ体が痛くて目が回っているが、それをやったのは誰かくらいはわかる。
腕を掴んで持ち上げて殴った。
「⁉」
何も言わずに殴られた。多分、殴られたのだと思う。
頭が揺れて吐き気までしてきた。地面に倒れそうなのに、倒れたいのに、腕をガッチリと掴まれてそれも出来ない。
地面に流れ落ちていく自分の血が見える。これは鼻から出たものだろうか、それとも口から出たものだろうか?
こちらの様子などお構いなしとばかりに腕を握り潰す気なんじゃないかという位に掴んでまた持ち上げる。
頬を思い切り殴った。
「お前!」
鼻を思い切り殴った。
「お前」
顎を思い切り殴った。
「おまえ」
こめかみを思い切り殴った。
「お、」
顔を思い切り殴った。
「……………」
顔を思い切り殴った。
「……………」
顔を思い切り殴った。
「……………」
顔を思い切り殴った。
「……………」
顔を思い切り殴った。
「……………」
顔を思い切り殴った。
「……………」
顔を思い切り殴り続けた。
自分の手がズタボロになっているのに、相手の血だけでなく自分の血で真っ赤になっているのに、もう殴っていない場所なんて無いのに、殴り続けた。
なんの言葉も無く、なんの感慨も無く、なんの考えも無く、ただただただただ相手の意識が無くなって反応が無くなっても殴り続けた。
「…………………………」
もう何発殴ったか解らない。顔が腫れて血だらけで、中の骨が折れていて、どんな藪医者だって重傷だと断言する程に重傷だった。
それでも未だ殴る。
お構いなしに殴る。
思慮思想無く殴る。
殴るだけの暴力装置。表情一つ動かさず暴力を振るい続ける化け物だとばかりに人を壊す。
もう一回殴ろうとして、やっと止まった。
ズタボロになった血肉の塊が自分の血だまりが広がる地面に打ち捨てられる。
あと少し殴られていたら、絶命していた。
だから、止めた。
死んでは意味がない。生きたままでないと意味が無い。
暴力装置の血だらけの拳がゆっくりと開かれて、その中にあった種子が血だまりに転がる男へと吸い込まれていった。
あと一人で皆仲良しになりますね。
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