表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1292/1728

愉快なハウズデイラボの『しでかし』

 この作品、危険要素が多過ぎる!

 例えば、『家庭用魔道具を作った』と言って暖房器具を見せられる。

 一見すると黒い円柱状のストーブに見える。何の変哲もないように見える。

 ただしその家庭用魔道具は作動させると時速20mの風を周辺に撒き散らし、かつその風の温度は807℃である。

 見せられた者が然るべき組織の人間であれば、そして運良くロースト人間やフライド人間やベイクド人間になる事を避けられたのならば、職務の遂行と自分の安寧を守るために製作者を拘束し、製作者の家や工房を引っ繰り返して更なる物騒な代物を探し出して没収することになるだろう。


 荒唐無稽な話に見えるだろうが、これは数年前に新聞に載った『ハウズデイラボ』の人間が実際にしでかした(・・・・・)事を要約したものだ。

 実話だ。近隣住民から昼夜問わず騒音がするという苦情を受けた警備官相手に自分の発明を自慢するために自分の家の庭と隣三軒と向かい三軒の家の表面を炙って危うく大火事になるところだったという実話だ。


 これで終わりではない。これは何人もいるラボの人間の内のたった一人だ。


 ある者は雑草から邪魔な樹木まで刈り取れる巨大万能草刈り機を作ったと(のたま)い、スイッチを入れると同時に暴走させて危うく人の首を狩り取る『血濡れの首狩り機』を産み出しかけた。

 その時は結果的に製作者の家に突っ込み家の一階を手入れのされた芝生のように惨憺(さんたん)たるものにした後、岩に激突してバラバラに分解。大きな破片は主に製作者の家の二階に突き刺さり、近隣の家と道に小さな部品をばら撒いて終わった。


 ある者はとある年の夏に冷やし忘れた飲み物を直ぐに冷やして美味しく飲めるような素敵な魔道具、『冷蔵庫』を欲して作り、何をどう間違えたのか冷やす出力と規模を町一個分にしてしまい、水浴びをしていた近隣の中年を危うく氷の中に閉じ込めて氷像に変えそうになった。


『ハウズデイラボ』は集団で何かをしでかす組織ではない。横の繋がりはある程度あるが上下関係は無く、ただ今までに無い魔道具を作って生活を良くしようとしている魔道具研究機関である。


 と、当人達は証言している。そして残念な事にこの連中は悪意が有るわけではなく純粋に暖房器具や草刈り機や冷蔵庫を作ろうとして大事件を巻き起こしている。

 悪意があれば人々はそこに疑念を抱く。

 猟犬の様な警備官は策謀を嗅ぎ付ける。

 邪悪の進む時、そこに痕跡は必ず残る。

 だがここの連中は悪意も無く笑ってこれらをやる。


 失敗したと、うっかり間違えたと、次回は上手くいくさと、心の底から笑ってそれをやる。


 下手な悪党より始末に負えないとはこのことだ。


 感想、評価、ブックマークにいいねと沢山貰ってホクホクです。ありがとうございます。

 なんとブクマして下さっている方、今2200人もいらっしゃるんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ