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この方便の行く末は如何に?

 「ジーニアス様、1つ訊いてもよろしいですか?」

 「良いとも。と言っても大方予想はしている。『そこの男が何をされたのか。』だろう?

 そこの男の症状は主に魔力の欠乏と脱水が原因だ。

 細々した傷や治療の際にやむ無く、火傷や骨折はしているが、それ以外は特に……。

 ちなみに栄養状態に関してはそれなりに良い状態だった。生かさず殺さず上手い具合に搾り取られていたよ。

 それで十分かい?」

 「ええ、知りたいことが余すところなく解りました。

 次にマスクリン様、質問にお答えいただけますか?勿論無理はしないで下さい。」

 「勿論答えよう。こんな格好で失礼だが何なりと。」

 「マスクリン様は単独でこの場に来たわけでは……元々は単独でここに来る予定ではなかったのですよね?」

 それに対して大男は口を開こうとして、閉じて、逡巡する。

 もうそれだけで質問に対する回答としては十分なのだが、シェリー君は騎士道精神を守りたい大男を待っていた。

 「詳しい人数は言えないが、予定では十倍以上の人数で来ることに、なっていた。

 彼らは私のせいで無駄に命を、散らすことになってしまったのだ……」

 無念を示すように拳を固く握りしめ、苦痛と後悔の涙で溺れているようにも聞こえる。

 この男は自身が肥料になる前最後に見た光景から自分達の部下の最期を勝手に想像している。

 だがそれは間違いだ。

 「恐らくですが、生きていますよ。」

 倒れている大男の肩に触れる。

 「我々も似た様な相手を見たことがあり、被害が出たのですが生きていました。

 そして、助けるためにそれを引き剥がしたところ、枯れてしまったのです。

 今回も貴方から引き剥がしたものは御覧の通り枯れています。

 つまり、ですよ。これらの事例から判断すると我々が敵対している相手は人に寄生しなければ自分達も生きていけないということになります。

 時間との勝負になるかもしれませんが、未だ、間に合うかもしれません。」

 男の苦悶と後悔に満ちた表情と瞳に光が(とも)る。

 「我々にとって、あれは歓迎し難い相手です。そして、貴方はあれから奪還したい人々が居る。

 互いの目的は一致しています。

 全てを明らかにして欲しいとは申し上げませんが、互いに握手をするくらいなら、出来るのではありませんか?

 我々としては、貴方のその力を借りられることは願ってもいない事なのですが……」

 小さく華奢で白い手を大男へと伸ばす。

 大男は黙って、自分の大きく屈強な傷だらけの手でそれを取った。



 嘘だ。正確に言えばこうして自信満々に無事だと言える確たる証拠は一切持っていない。

 この男が捕らわれていた物と孫娘を捕らえたものが完全に同一かどうかは不明。そして孫娘はあの短時間で数日寝込む事態になっている。

 まともでないサンプルを含めても二例しかないサンプル不足の中で自信を持って何かを言うことは本当なら出来ないのだ。

 だが、私の知る言葉に素敵なものがある。それは『嘘も方便』。

 この嘘で大男は仮初の希望を抱き、我々は戦力を得た。

 両者とも一つ得るものがあった。

 結末までは、保証出来んがね。


 「話はまとまったようですので、次はこの紙に書かれた事の意味を教えていただけますか?」

 話を切り替えるべく商人がわざと空気を読まずに発言をした。




 ブクマと感想をありがとうございます。そして、いいねがついに1000を超えました。

 祝杯とばかりに甘いものを一杯食べましたよぅ。

 そして、誤字報告感謝致します。お陰様でこれから来るアニメ勢の方々に痴態を曝さずに済みます。

 アニメ勢の方々からの誤字報告だった場合……次からもっと減らします。

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