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異形の戦い方を知らない人形師

 腕の数が増えれば、腕が長くなれば、腕の力が増せば強くなるか?

 足の数が増えれば、腕が長くなれば、腕の力が増せば強くなるか?

 強さの定義次第だが、『戦闘における脅威度』という意味で考えると必ずそうとは限らない。

 二腕二足のシェリー君が六腕六足の大男に三倍差をつけられ攻められながらも未だに絶命に至っていない。数も長さも力も勝っているのに人を殺せない。そんなこともある。


 私が当初、シェリー君として振る舞い動く時に考えたこと、それは手足の長さ、体の動かし方についてだった。

 人は自分の身体以外を動かす機会は原則、無い。そして手足の長さを含めた骨格は千差万別で、当然動かし方もその割合によって変わる。

 だから、自分が動かしたことのない体は中々うまく動かせない。動かせたとしても自分のものと比べてぎこちなく動く。

 人魚が声を代価に得た足でなかなか地面を駆け回る事が出来ないように、自分のものではない未知のものを自分のものとするのは厄介だ。


 私は手足の長さという違いを問題とした。これは根本の構造を熟知しているが故に難しくはなかった。

 人魚は生えたばかりの足を動かす事を問題とした。これは元々無いものを得たのだから当然難しい。

 なら、この人植一体は、何を問題としたのだろうか?

 腕や足が増えれば骨格そのものが変わり別の生き物の運用になる。当然動かし方の前提から変わる。しかも、腕の生えている胴体の大きさが変わらないなら腕の数が増えればそれだけ他の腕とぶつかり合いやすくなる。事故を起こさないようにインファイトをするのは骨が折れる。

 慣れたら話は別だが、そもそもコレはこの状態で動くことにすら慣れていない。それが問題だった。

 異形の腕と肉の腕。二種類六腕を持ちながらそれを活かしていない。

 あれは性質の違う四つと二つの腕の欠点を補い合い長所を伸ばし合う六腕運用ではなく、二腕と四腕を別物としてバラバラに動かしているように見える。

 一度、両方を同時に動かそうとした結果は……見ただろう?自分の腕を自分で刺し、折っていた。こっちは一度もまともに攻撃していないというのに、一体なんの冗談だ?

 異形の足と肉の足。二種類六足を持ちながらそれを活かしていない。

 六本の足があるなら常に移動し続け相手を翻弄しながら安定した六本足での蹴りと拳とを組み合わせた戦術が使えたのだ。この足場の悪さで一方的に安定した状況で手数足数を押し付けてこない。

 折角の六本足をただの人間のように動かして歩いているだけ。一体なんの冗談だ?


 結論として、下手くそな人形師が二つの人形を動かそうとして一人ずつ動かしているような、一度両方動かせると傲慢に考えて操り糸を絡ませてしまった様な、無様を晒している。


 今のうちにお知らせしておきます。今週のアニメはお休みです。

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