ご馳走様ともう一杯のお茶
一部サイトはあと少しでアニメ配信開始となります。
感想は近況欄に書く場所を設けておいたので好きに書いて下さい。OPEDの感想も歓迎ですよ。
監獄は飲み込み、消えていって、元通りの街道が現れる。
つい先日まで轍が消えてなくなっていて、自然らしさの無い自然が広がっていた場所。先程まで監獄が広がっていた場所はそこだ。
「あら、お残しがあるじゃない。」
監獄が消えた後に残った影が向いた先にあったものは今まさに口にした御馳走を運んできた馬車……の残骸。
内側から幾つもの拳で徹底的に殴られて見る影もない。馬車だと解る者はいないだろう。だが、そこに確実に『残骸』として残ってしまっている。
馬は真っ先に平らげた。武器も呑んだ。肝心のものは今も腹の中で味わっている。あれだけが残されていた。
「お残しはダメ。勿体ないでしょう。」
あんなものは養分にならないと、おいしくないと、他にも魅力的な御馳走がある中で見向きもされずに残したものを指し示す。
しかし、監獄が再出現してそれを平らげようとする素振りは見せない、現わさない。
「……面倒ね、仕方ないけど。
後であなた達にも手伝って貰いますからね。」
そう言いながら影が残骸に近付いていく。
影が崩れていって、残骸と一体になって、そうして、最後には残骸ごと消えて無くなった。
この道をこの後通る者はここに誰かが来た事に、そしてここで消えた事に気が付くことは無い。
誰も怖がらずにちゃんと来てくれる。うまくいっている。
今度は前よりもっと上手くやってやる。失敗はもうしない。
これじゃ足りない。もっと沢山。もっと上等な物を頂戴!
焦る必要はないわ。すぐにもっと沢山来るのだから、だから綺麗に平らげましょう。もっと沢山来るように、怖がらないように、上手くやって沢山食べましょう。
その為にはもっと沢山の力が必要。働いてくれるものが必要。だから作ろう、必要なものを。
大丈夫、材料は向こうから来てくれる。
商談相手が向こうから来てくれる。
「では、商談成立ということでよろしいですね。」
営業向けの作りものではない天然物の笑顔を浮かべる。
「うぬぬぬぬぬぬ…………よっしゃぁ負けじゃい!乗った!こっちも商人一本で食ってきた男一匹!買いじゃい買い!言い値で買ったる!」
対して難しそうな顔をしていた男は覚悟を決めたとばかりに大声でそう言って机の上の契約書にサインをした。
「毎度ありがとうございます。」
「毎度良いように絞られて最終的に儲けさして貰っとるわい!」
猫舌甘党のために用意されていた冷たく甘いお茶を一気に飲み干す。
「ふぃぃ……にしても、思ったほど荒れとらんかったのは僥倖じゃった。」
契約書を書き終えて足を伸ばして何気無く呟いた言葉。だがイタバッサにとってそれは気になる言葉だった。
今、ここは商人たる自分の主戦場。『会長』や『棟梁』そして『発明家』よりも自分が活躍すべき場であり、よく知っている場であり、輝いている場であった。しかし、同時に少しだけ物足りなさに似た違和感があった。
「……お茶、もう一杯どうぞ。」
まだ冷えていない甘いお茶を淹れる。それの意味に気付いて相手も表情が僅かに硬くなった。
「何を訊きたい?」
契約書は既に仕舞われている。ここからは文書に残らない取引の始まりだ。
「『思ったほど荒れていなかった』件について詳しく。」
OPの七海氏が感想を募集していたので、私もここに。
#感情革命ロックンロール
不甲斐ない事に言語化出来ませんがこの曲にモリアーティー感を感じています。
それと、『地獄の先まで』という歌詞にゾクゾク来ました。良いですね、未だ地獄の先どころか地獄さえ描けていませんが、これを聞きながら地獄とその先を書いていきたいです。要は私この曲大好きです。
そして、読者の中にうらんちゅの方々がいらしたらお手数ですが七海氏へ伝えていただけますか?『OPが貴女の曲で貴女の声で良かったと私は思っています。』と。
 




