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忍ぶ招かれざる客達と潜む招かれざる住人


 『身体強化』を常時発動させた上で『気流操作』の魔法を応用して装備者の発生させる音を消し、『幻燈』で姿を消す隠密行動用軽鎧『ノウウェア』。

 一見するとなんの変哲も無い手斧だが、空気中の水分を凝結・蓄積して刃から高圧水流として発射することで間合いを延長させる他、切り付けと同時に刃から対象内部に少量の水を送り込み、急激に内部で沸騰。致命的な損傷を与える『アクステンド』。

 交差させた二本のレールを磁力で引き寄せて間にある物を無理矢理圧し潰し切る、あるいは逆に磁力の反発で無理矢理抉じ開ける『バラレイル』。

 親機を持った状態で人に子機を取り付ける事で使用可能、子機を取り付けられた人間が強制的に巨大な魔力源と親機の間に割り込んで肉の盾になる『パラテクト』。

 『調査・制圧・回収』に使われるよりも『略奪・殺戮・戦争』に使われる方が余程相応しい代物ばかり持たされた。

 既に目的地のスバテラ村は宿場として開かれていると聞く。どう考えても奪い取ろうとすれば人が沢山死ぬ。

 回避するためには誰にも気付かれないように考えて工夫するか、見た奴抵抗する奴を全部始末しないといけなくなる。

 目撃者を残したら後々殺した自分達は追われる。面倒になった尻尾達は切り捨てられる。

 どちらに転んでも面倒ごとばかりやる事になる。困ったものだ。


 カツン


 馬車は暫く走り、陽が落ちて隙間から入る明かりも無くなった頃、馬車の中でそんな乾いた音が響いた。

 何かが足元に落ちたのだろう。中身が空洞なのか音は軽く、音がよく響いた。

 暗闇の中、それの正体を探ろうと屈んで手を伸ばす。幸いなことにそれは足元にあってすぐに見つかった。

 目が慣れた暗闇の中、掌に収まるほどの丸い小さな影を手にしようとして、止まった。

 おかしなことに気が付いた。

 先ず、足元のものに見覚えがない。こんなシルエットの部品は装備に取り付けられていなかったはずだ。

 ここにいる全員、万一の事態を考えて身元の特定に繋がりかねない私物の持ち込みは禁止されている上に外から途中で入り込もうにもこの大きさでは入る余地はない。何処から入ってきた?

 そして、もう一つ。自分は何故それが落ちてきたことに気付けたのか?

 轍の無い道を馬車で走れば揺れと音で何が転がり落ちようと気付きはしないはずだ。鋲の音のようにわざと特徴的にしてあるならば別だが、これはそうではない。先刻までの状況ならこんな小さなものが落ちた程度では気付けないのに、今は何故気付けた?


 目の前の落とし物は先刻から静止している。転がってどこかに行く素振りは無い。


 馬車は走り続けているのに揺れが収まっている。道が整備された?この短期間で?それはない。そもそも、そんな変化があれば御者席から連絡があるはずだ、しかしそれはない。

 ここは、何処だ?


 厭な予感が頭を(よぎ)る。と同時に全員が武器を構えて外に飛び出そうと動いていた。

 各々が外への最短距離へ進む。手斧を握る手に力が入り、吸い込んだ息を飲み込み、圧縮し、力を籠める。そして自分達を閉じ込めていた監獄の檻のような幌に手斧を振り下ろした。


 アニメモリアーティーの配信サイトが公開されました。

 遅れて申し訳ありませんでした。かなりの数のサイトで配信されるので配信サイト名についてはHPにて省略させて頂きます。


公式HP:https://animationid.com/kuromori/

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