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招かれざる客達 第二弾


 ゼニバ=ゲッチボーンとすれ違った御者は、しばらくして足を小刻みに踏み鳴らし始めた。

 これは(はた)から見ると寒さで震えている様にもクセの貧乏ゆすりをしているように見える。

 しかし、近づくと奇妙なことが解る。僅かな足の動きに対応して妙に耳障りな音が聞こえるのだ。

 その理由は簡単で、靴に特徴的な鋲が打たれているから。

 お陰で馬車の揺れで生じる音とは全く違う音を目立たない最小限の足の動きで生み出せる。

 それは馬車の外から耳を傾けても他の音に掻き消されて届くことはない。ただ例外として、馬車の中でみっしりと詰め込まれながらそれでも息を潜めて座っている人々(・・)の耳にだけ届けられる。

 「ゼニバ=ゲッチボーンですか……あの守銭奴が来ているということは、それなりに利が動く事案のようですね。」

 特別製の鋲の音は符号となって外部と完全に隔たれている馬車の中に伝えられていた。

 「虚偽ではなかったと。」

 「そのようですね。

 もっとも、これだけの頭数と装備を揃えて嘘の情報に踊らされたとあれば、恥晒しもよいところですがね。」

 唇以外一切動かしもしない武装集団が馬車の中には詰まっていた。


 もう何年も使われていなかったせいで消えてしまった轍の跡を馬車はなぞる。

 当然、その行動は意味をなしていない。

 整備されていない道は荒れ果てていて、大きな石や折れた太い木の枝、動物の屍が車輪に轢き潰されていく。

 その度に馬車は大きく揺れて、文字通り跳ね上がる。

 中に詰められた集団は隙間無く入っているお陰であちこちに体表をぶつけずに済んでいるが、中の脳や臓物はシェイクされるカクテルの気分を味わっていた。

 もっとも、丸一日以上休み無くシェイクされるカクテルが有るかと問われると、答えに窮することになる。


 揺れや衝撃音に紛れて再度鋲の音が聞こえてきた。


『モクテキチ ロク ノチ』


 6時間後、この暑苦しい棺桶から解放され、同時に仕事が始まる。

 仕事の内容は『火柱の発生源の調査・および危険がある場合の制圧と回収』ということになっている。

 しかし、一体誰がそれを本気にする?この隠密状態で移動している以上、明らかに仕事を誰かに見せる心算はない。だというのに、何故この仕事に、誰も見ていない所で張りぼての大義名分を掲げているのか?


 秘密裏に送り込んだ先遣調査隊が返り討ちにあって、だというのに無事帰ってきた。

 調査隊を殺すことも捕らえることも出来たであろう相手は敢えて逃がした。罠を疑ったのにそれらしきものも無かった。

 主人はそれを『こちらを侮っている』と受け取り、業を煮やして手勢の中から精鋭を選んで、最新式の装備を担がせて、こうして仕事に向かわせている。


 評価、ブクマ、宣伝ありがとうございます。しかもここ数日PVが伸び伸びしまして、歴代トップ10入りする日が二日も……。

 逆にアニメもコミカライズも無い時代の私は何やっていたのでしょう?

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