商談不成立?
「この度は招待に応じていただきまして誠にありがとうございます。」
目の前の商人は丁寧にお辞儀をした。
大人しそうな見た目、覇気は無いし、ギラついた目も無い。
これが噂に聞いていた化け物か……『そう見えない。』・『本当にそうか?』と思ってしまう。だからこそ恐ろしい。
『商人連合会壊滅事件』
少し前に起きた大事件。
とある都市で商人達がグルになって幾つかの商品を買い占め、値を吊り上げた挙句、都市の領主を抱き込んで出入りに税を掛け、実質封鎖されたということがあった。
主要都市だったこと、値を吊り上げた品物のうち、一つが主食の穀物だったこと、そして商人が都市の外で商品や金を持ったまま停滞してしまったことで『餌』が撒かれ、それに釣られた連中によって周辺一帯の治安が壊滅的に悪化し、市場の混乱が起きた。
流通網の破壊と治安悪化。二つの出来事が起きた。
大事件はここからだ。
そう、ここまでの出来事は事件ではないのだ。
そう、大事件はここから。
高騰していた穀物の値が急激に戻ったのが始まりだった。
穀物の値を釣り上げられる事が出来たのは、供給が限られて需要量>>>供給量だったから。需要量は変わらないから供給量が変わったと見て良い。
戻った理由は最初の頃、都市が開放されたのが原因と思われていたが、相変わらず都市は封鎖状態のままだった。
何事かと思う者がいたが、そんな人々も次の出来事に思考を割かれてそれどころではなくなった。
次に起きたのは精鋭の警備官が束になって治安悪化を打ち破りに来たこと。
それはもう、都市に向かう道を歩けば警備官に遭遇遭遇遭遇……悪いことをする気があっという間に失せるほど。
そうして、市場が安定し、治安も元に戻って数日後に突然都市の封鎖が解放された。
というか、一連の出来事を引き起こした犯人が都市内部の人間に縛られて外へ追い出された。
何が起きたのかを外部の警備官が内部の人間に聞いたところ、都市内部に偶々いた商人と取引をして、外と連絡を取って穀物の供給を回復させ、狡猾に潜んでいた封鎖の主犯連中を見つけ出して、捕まえる方法を教えてくれたのだというのだ。
都市の領主と複数の商人がグルになって行ったことをあろうことか一人で潰した。
その、『偶々いた商人』の名前がバイスリー=イタバッサ。目の前にいる男だった。
そんな男が一体どんなことをするのか、どんなものをどう売り付けるのか、どんな利益をこちらにもたらしてくれるのか、少し気になる。
そう思っていた。
「こんなものを誰が買うと思っているんだ?」
馬鹿にしている。
あるいは馬鹿げている。
こんなものは商談ではない!
話にならない!
誰が買うものか!
アニメの放送情報をお伝え忘れていたので、お伝えしうる限りの情報を以下に記しておきます。
【放送・配信】
▽地上波
2024年7⽉19⽇(⾦)深夜1時56分〜 CBCテレビにて放送開始!
▽配信
dアニメストア:2024年7⽉19⽇(⾦)深夜2時15分〜 ※最速配信
各種プラットフォーム:2024年7⽉20⽇(⼟)12時より順次配信開始
追加情報などはまた改めて。必ずやお伝えいたしますので、少々お待ちください。




