※勿論全て喰らっています。
「槍は練度の低い兵士や経験の無い者を戦えるようにしてしまう武器です。
しかし、あの槍は重量が先端に偏っている上に非常に重い。普段槍を使わない者にとってあれは間違いなく扱いが困難な代物です。」
傍らに置いてあった槍を片手で振りながらそう言った。
「凍る槌。槌は槍以上に扱いが困難。自身が槌に振り回されることも考えられます。
その上で凍結する性質を加えた結果、不用意に触れれば自らが凍傷になりかねない危険な代物となりました。
これもまた、扱う上で高い技能が必要になります。」
槌の先に白く美しい刃を作り、それをすぐさま消し去って見せる。
「炎の出る爪。近接戦闘前提。扱いやすく思われるかもしれません。しかしこれは刀剣程刃が大きい訳ではなく、刀剣や武器を受け流す際には工夫が必要になります。
何より、自身の目の前で爆発・炎上を起こす戦闘方法が前提では先ず自分が炎で火傷しないような立ち回りと魔法を扱う技術が必要になるのでこれを扱うこと前提の鍛練無しでは扱えません。
そして当然、命を喪いかねない代物と言って差し支えないでしょう。」
爪先から太陽が現れる。それは大空へと吸い込まれて、高く上ったところで弾けて地上まで到達する目を焼く光と肌を焼く高熱を放出した。
「仕掛けの多いこちらのハルバード。これに関しては言うまでもありません。仕掛けが多く、それら全ての性質を把握した上で使う事は困難を極めます。事実上幾つもの種類の武器を扱うことなのですから当然でしょう。
そして、それだけではありません。」
こちらに見せるようにして『蛇智暴虐』に仕込まれた散弾銃の引き金を引く。
目をつぶり、顔を覆った。爆発音と共に『蛇智暴虐』の破片や骨が飛んできて……あれ?
暴発した銃が起こす大惨事を予想していたのに、それは起こらなかった。
では、散弾銃は暴発しなかったのか?そんな訳がない。
あれにはそもそも散弾銃の弾丸なんて仕込んでいない。入っているのは爆薬と粘性の高い燃料。しかも持ち主だけを狙って弾け飛ぶ様に仕込んである。
使った奴が焼け死ぬようになっていた。
「メンテナンスを怠った場合、このように暴発します。
他の武器にも言えることですが、これに関してはメンテナンスをする項目が多くなり、一つ一つの仕掛けに対する目が疎かになる危険性があります。
そして、一つ欠けただけでご覧のように、全てを喪いかねない。」
爆炎の中からそれを切り裂いて無傷で現れた。
「正々堂々とせず、武芸者でもない。貴方の行いは許されざる卑劣です。」
千切れ消えゆく炎をその目に宿した淑女の目は、半端者を震え上がらせるには十分だった。
イカした製作陣をご紹介します。今日はもう我慢するのも限界なのでこの人を!
お待たせいたしました!
原点は雑に口ッテンマイヤーさんや厳しい先生像を集めただけのキャラクター。当時の想定では作品の最後(現在で言う一幕ラスト)で破滅することも考えていた悪役令嬢の親玉。
しかし、彼女は今や厳格で誇り高き淑女となり、本作の顔の一人となり、破滅フラグをその鞭で叩き切り、本作における『淑女』の定義をその身で証明し、二幕に登場予定、第二形態や番外編主人公の座まで手にした正真正銘破滅フラグを踏破した真なる淑女。
そんな裏ボスで絶対的淑女な淑女している淑女、ミス=フィアレディーを演じて下さる淑女の名前をここに記しましょう。
ミス=森谷 彩子 氏です!
本当にありがとうございます。貴女という素晴らしき淑女に敬意を。
 




