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なんのために見て回ったのか?

 見て回り、倉庫に戻ってきた。

 「総じて、良き品物が揃っていました。これならば、確かに値段を上げても売り上げをある程度は確保できるでしょう。」

 一通り。というか全部見て回った。

 商会を全部。商品からそれ以外まで帳簿と照らし合わせながら全部見て回ったのだ。この一時間で。


 「おほめいただき、恐縮です。ミス=フィアレディー。」

 「フヒュぅ、フヒュぅ、フヒュぅ、フヒュぅ、フヒュぅ、フヒュぅ……」

 部屋の中、息も絶え絶え。あれだけ動いて、それで息一つ乱れていないなんて……

 (ばけものめ……)

 自分を化け物にしたろくでなしなら幾らも見てきた。これから化け物になるろくでなしも相手にしている。

 けど、それらとは違う、これは別の化け物だ。

 私が知っている奴らは自分が化け物になることが目的で、その後なんて考えていない。あれは後を考えたくないから化け物になって終わりにしている連中だ。

 けど、この化け物は違う。多分。化け物よりもっと狂った何かになりたくて、そのために途中で化け物になっているだけだ。

 「そう言えば、気になったことがあります。

 この商会は問屋として売り出すことにしたのですか?」

 帰る準備でも始めると思っていたら、そんな変な質問が飛んできた。

 身構えているけど、意味がわからない。何より、それに答えても何の差し支えもない。

 「いいえ。普段は小売りが基本です。たまにまとめて購入する人も居るみたいですけれど。」

 まとめ買いをする人間は一定数居る。でも、それを言ったところでなんてことはない。

 「帳簿を見る限り、売り上げが増加しているものと減少しているものがありました。岩塩や金は人気で、茶葉やぬいぐるみは逆に不人気でしたね。

 利益や売り上げ全体として見ると収支はプラス。しかし、個別で見ると目に見えて差がありました。」

 「それは……商品によって売り上げなんていくらも変わってきますから……」

 「そして、この商会は非常に無駄の無い商売をしているようですね。ゴミの廃棄量が同規模の商会と比べて明らかに少ない。」

 「工夫しておりますので、ハい。お褒め頂き恐悦至極です。」

 シルチュがヘビに睨まれたカエルになる。

 「少ない。非常に少ないのです。どころか、無い。

 見せて頂いた帳簿には、廃棄されているべきものが廃棄されていないと書いてありました。」

 嫌な雰囲気だ。

 「そん、そんな、あるわけが、あリません。廃棄は出来るだけ減らしていますが、それでも残念ながら出るものはあります。そして、その分はきっちりと帳簿に書いてありますとも。

 きっちリ処分業者に量を計測してもらって、証明書も貼り付けてあります。処分するものの内容だって……」


 「木箱」


 凍り付いた。


 ブックマークといいねがいっぱいで嬉しい。ということで、もう一話くらい今日は投稿します。

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