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マルサの淑女


 波乱は他の場所でも起きていた。

 とある商会の一室で、商会の実質的な長と資金提供者、そして特別監査役が座っていた。

 監査役の表情は常に厳しく、それを目の前にした二人も絶体絶命とばかりに

 「この商会の商品の大半は市場価値と比較して倍近く高い。これに関しては店側の価格設定という話で済みます。

 しかし、その強気な値段設定になったのは貴女が来て直ぐだということ、そしてその値段の増加があったにも関わらず売り上げが順調に伸びているという点は、奇妙な現象と考えて差し支えないでしょう。

 ミス=ウラバック=モネー。この件について、詳しく説明を。」

 この十年の帳簿と日報に目を通して言った。流し読みと表現するにもあまりに短い時間。

 ページが駆け抜ける様に目の前で捲られて、あっという間にそれが終わり、熟読なんて到底出来るわけがないとタカをくくっていたら、あっという間に気付かれた。

 そもそも貴族の学園の長が何故市場価値を把握しているのか?帳簿を何故読めるのか?そもそも速読にしてもあまりにも速過ぎる。

 採点方法が謎だったから嫌な予感はしていたけれど、まさか本人が本当に来るとは思わなかった。


 けれど、こっちだってこの手の相手はいくらでもしてきた!

 いくら相手があの淑女だとしても、なんとか出来る!それくらいの細工はしてきた。


 「シルチュ、説明をしなさい。」

 「か、かしこまりましたモネー様。不肖アマイン=シルチュ、ご説明をいたします。」

 「……最近顔を合わせたばかりにしては、随分と仲が良いようですね。」

 「!」「「…………」

 シルチュの顔色が見る見るうちに変わっていく。真っ青になっている。

 あくまで私とシルチュはこの町で出会って、私が偶然困っていたシルチュを手伝ってここの臨時アドバイザーになった形になっている。

 モネー家と繋がりがあるなんてことがバレるとこの課題がパーになるだけでなくモネーの家から私が締め出されかねない。

 「いえ、これは、あの……」

 シルチュは巨大な獣を前にして腰を抜かした様になっていてもう使い物にならない。

 「先ず、値段設定については当然の事です。価格を上げるように忠言したのは私ですから。」

 眉を少しだけ動かす。

 「なるほど、それはどういった経緯で、そして目的で行ったのですか?」

 「それは、私が縁あって臨時アドバイザーという形でこの商会に来たところから始まります。

 その際に売り上げの伸び悩みが起こっていたので私が提案したのです。

 この商会が標的としている客層が明確ではなかったので、どんな客層なのか調べるためにも一度極端に値段を上げて売り上げを確認してみよう……と。

 上流階級の人間は同じ商品でも値段の高いものを選んで名誉を保とうとします。もし、この商会に来る上流階級の人々の割合が多いのであれば売り上げは上昇するでしょう。

 売上が低迷したら下流階級の連中の割合が多いということ。

 もし下降した場合、直ぐに値下げをするつもりでした。

 値段を下げてから上げると値上げと見られてしまい、下流階級の連中の割合が多かった場合のリカバリーが難しくなります。

 なので先ずは値上げをしようということにしました。」

 こちらの思惑が露見しないように全力で表情と声を誤魔化す。

 どうか誤魔化せます様に!




 「なるほど。そういうことでしたか。貴族相手となると身元を探る行為は敵対行為と見なされかねない。だから危険を冒してこの値上げをしたと……。

 そして、結果的に貴族相手の商売をしようと考えた、と。」

 通った!



 ブックマークといいね、毎度ありがとうございます。

 最近、淑女が出る回はPVやブクマ、いいねが増加するという仮説を検証していますが……皆様は淑女がお好きですか?



 どうでもよいことですが、国税庁のHPを見ていると先輩からのメッセージというコラムがあったのですが、査察部だけ顔が写っていないのはご存じですか?

 私は最近知りました。

 https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/recruitment/shokuin/2shu/message/02specialist.htm

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