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ここだけの話じつわは


 「この地域。この場所でしか……非常に限定的な環境下でしか生存することが出来ない『スバテライセクトム』という特殊な虫が最近になって発見されましたぁ。

 その虫はここ一体の土と侵食や風化で細かくなった琥珀を食べ、そこに僅かに含まれる魔力を()()ることで生きているのですぅ。

 その食性ゆえに非常に温厚な性格ぅ。そして、毒性や牙や毒針も持っていないぃ。限定的な環境下で生きていて、騒がずひっそりと隠れていたので誰も気付かなかったのですぅ。

 だからこそ、その素晴らしい性質に注目するものは、気付く者がいなかったのですぅ。

 その虫は周辺の土と小さな琥珀を食べて、その中の魔力を漉し取って生きていますぅ。けれど、全部じゃないんですぅ。食べたものの中に含まれる魔力を体内で集めて、そのごく一部を生きるために使っているのですぅ。欲張りさんじゃないんですぅ。

 だから、残った魔力は圧縮されて排出されるのですぅ。

 人の体や魔法で行う場合は、血の滲む努力を積み重ねてやっと出来る自然の中の微弱な魔力の吸収を、食事として自然に行うのですぅ。

 そして彼らは体内で取り込んだ微弱な魔力の圧縮と結晶化を行うのですぅ。

 それを何度も何度も行うことで、高密度の魔力の塊が出来るのですぅ。これは場合によっては生態系に良い影響を及ぼすことがありますぅ。

 けれど、重大な問題があるのですぅ。高密度の魔力の塊を作ったスバテライセクトムにとっては自分達で作った高密度の魔力は猛毒なのですぅ。自分で自分の首を絞めてしまうのですぅ。

 我々はスバテライセクトムの生態を研究し、この問題を有意義に解決する手法を編み出したのですぅ。

 一定以上の密度となった魔力の塊を抽出してエネルギーとして使えるようにすることでスバテライセクトムの生存環境を保護しつつ我々も膨大なエネルギーを得る大型結晶化魔力抽出装置。それが、この『レスピラティオ=ヴィレスバテライセクトム』なのですぅ。」

 通されたのは地下のガラスの床の部屋。

 目の前の大型の装置は轟々と唸りながら脈動している。

 それは炉のようでありながら大地に穿たれた穴を塞ぐ蓋のようでもあった。

 実際、そうなのだろう、

 足元が透けて、真下の稼働状態の装置が見えている。

 その中ではミミズかイモムシの親戚のような無数に絡まりあった紐状の生き物が蠢き犇めきながらガリガリと音を立てていた。その固まりがなんなのか、何に殺到しているのかはその密度ゆえに解らない、しかし、その塊から朧な光の欠片が飛び散っている。

 「あの欠片が魔力の塊ですぅ。結晶ではないので魔石とは少し違いますが、集めて抽出すると膨大なエネルギーが得られますぅ。

 我々はここ、疑似太陽の真下でエネルギーが生まれるのを確認、中央部の回収装置で塊を速やかに回収して精製して使えるようにしますぅ。

 これを町中に送っているのすぅ。」

 ガラス張りの床の中央部にある妙な装置が音を立て、ガラスの床を貫通して下に伸びる管が唸る。

 光の欠片はそこに吸い寄せられて集まっているように見えた。


 おんやぁ?昨日と内容が違うような……?

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