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よく冷えたサンドイッチ

 シェリー君があれやこれやと周囲を見て回っている内にあっという間に夜になった。

 『家』に戻ると、男は背後から致命の一撃を喰らって事切れた被害者のように…… 「ZZZZZZZZZZ………………」床で眠っていた。

 散らばる設計図とその周辺の部品の数々、床で設計図に記された代物を作っている最中に力尽きて眠ったのは明らかだった。

 「…………………………」

 少女は椅子に腰掛け、テーブルに突っ伏す形で眠っていた。しかも枕は皿の上の一口齧られた後で潰れたパン。

 二人とも寝て起きたは良いものの、未だ本調子ではなく、しかしなすべき事を……と考え動いた結果、這って魔道具製作中に意識が飛んで、何かを食べようとしたものの咀嚼に疲れて落ちた。という形だ。

 「お二人とも、ご無理を…………」

 そう言いながら毛布を持ち出して二人にかける。

 「我々も大人しく休むとしよう。この場で作業をして寝た子を起こす様な真似は君も本意ではないだろう?」

 「えぇ、それは…………」

 「観念するんだね、今この状況でやれることは少ない。ならば今この時を休む時間に回して次の一手に回す方がよほど有意義だ。」

 「そう、ですね…………では、今日は休んでまた明日、頑張ると致しましょう。」

 「休む事も仕事の内だ。特に成長期における睡眠や休息はそれ以降に重要な影響を及ぼしかねない。

 胸を張って眠るといい。それは重大なやるべき使命だ。」

 「………はい。ありがとうございます。」

 「あぁ、自称そこそこ天才は自分の状態を予測して手を打っているから、それは確認しておくといい。」

 そう言ってパンを枕に眠っている孫娘の横にある小さな箱に目を向ける。

 金属製の、両手に載るサイズの直方体の箱。ここが他の場所なら工芸品で終わりだが、ここは他ならぬ自称そこそこ天才の『家』。そこにあるものは当然魔道具だ。

 しかも、箱の上部には星空を纏った少女のマーク。

 自称そこそこ天才が製作した『W.W.W.』を纏ったシェリー君をデザイン化したものだ。

 「これは、蓋はどこに?」

 そう言いながら足音を殺し、箱を手に取る。と同時に、箱上部の星空が輝き、少女のマークが跳躍するように動く。

 箱が自発的に真っ二つに割れて、中から冷気を帯びた乾燥していない蒸し鶏と野菜とチーズのサンドイッチが現れた。

 「小型冷却装置、だな。設備があれだけ破損して、よくここまで直ぐに立て直せるものだ。」

 たった一人。これだけの設備を作り出せる発明家がこうして世捨て人をしているというのは、人材の有効利用とは言い難いな。

 ブックマークが増えていました。ブクマしてくださった人、ありがとうございます。

 あと、最近PVが落ち着いていたのですが、グワっと上がりました。心躍ります。

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