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牙を抜かれたバトラー

 椅子が何かに載せられた。

 以降、椅子が地面を削るような音は鳴らなくなった。静かになった。

 雁字搦めで何が起きているのかは解らないが、多分、車輪のついた台に椅子が載ったのだろう。

 それ以降、歩くスピードで奥へ奥へと進んでいく。四角く切り取られていた光はもう見えない。

 「俺は、何処に行くんだ?

 何をされるんだ?

 どうすればいいんだ……。」

 最後の言葉は自問自答か避けられなかった現状への嘆きか。

 それに対して男は真摯に紳士的に答える。

 「ガケップ様、私は主様の命に従い貴方様をお迎えに参りました。

 先ず何処に行くかという(とい)に対する回答ですが、レン様曰く、貴方にはほとぼりが覚めるか一連の問題が解決するまで我々の元へ身を寄せて貰うとのことでした。

 何をされるか……とのことですがされるのではなく我々の手伝いをして頂きます。聞くところによると商人として非常に素晴らしい活躍をなさっていたとか?」

 「活躍してたらこんなことになってない……」

 それは相手への怒りか?

 あるいは自分への怒りか?

 両者への呪いか?

 「最後に、どうすればいいかについてですが……これに関しては一つしかありません。

 この先にて起こることに身を任せる、それだけです。

 激流に逆らわんとする者は激流に流される礫でその肉を裂かれ骨を砕かれ、最後には力尽き、流され、敢え無く溺れ、水底に沈むのですから。」

 淡々と述べて、そのまま進んでいく。見えなくなった入口が更に遠退いて、背後の闇へ徐々に徐々に進んでいく。

 縛られている自分さえどうなっているのか、もう解らない。

 「少し歩きます。何か不自由な事がありましたらお申し付けください。」

 「ならこれを解いてくれ。逃がしてくれ。頼む。」

 これしかない。

 「残念ですが、拘束したままの状態でお運びするよう命令されておりますので、それは承りかねます。悪しからず。」

 もう一回どうにかこうにか動けないかと暴れてみたが、どうにもならない。

 「そう不安にならないで下さい。我々は決して悪いようには致しません。モラン商会は私のような者にも仕事に見合った給金を不足無く払って下さいますし、主様やこの先の皆様も貴方の事を歓迎しております。皆胸躍らせていましたよ。」

 どうやら、俺が今連れていかれている場所は胸が動く人間が居るらしい。少なくとも地下のごみ溜めに俺の死体が加わる事は一先ず無いのだろう。

 そして、俺はどうやら歓迎されているらしい。

 「……この先には何があるんだ?」

 「おや?レン様から説明はありませんでしたか?この先は我々の職場ですよ。」

 禁錮刑なのに労働?どういうことだ?



いいね、ありがとうございます。

おかしいですね、ちょっとした歌を披露するためだったのに……なぜこんなに長く?

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