ゲストのお見送りを
空中で女をキャッチし、剥ぎ取った上空で翼の内で紫電が走り、炎上した。
この先で起きた爆発と比べれば音は小さく火も小さい。しかし、人一人が直撃していれば十二分に殺せる威力はあった。
「間一髪………でしたね。」
「だが君の望みは叶った。おめでとう。と言っておこう。」
たった一人のスタンディングオベーションで称える。
「ありがとうございます。ふぅ……」
空から落ちてきた女を抱えていた少女、俗に言う『お姫様抱っこ』という奴をしている状態故に息をついてもその場で倒れこむ事は出来なかった。
暗闇の中、私以外、誰にも気付かれる事はなかったが、それでも己の誇りとなすべき事をなせたという達成感に満ちた表情をしていた。
対して、シェリー君のボイスチェンジによる誘導で毒煙を吸い込んで墜落した女はと言えば、シェリー君の腕の中で眠っていた。
「脈拍、心音……無事そうです。良かった……」
地面に下ろし、気絶している女の脈拍と心音を確認して安堵の表情を向ける。
くどいがなんとこの女、シェリー君とは一応の敵対関係にある。
敵対者に救われる無様も無様。そして敵対者を救う有り様も有り様だ、まったく……。
私が頭を抱えている中、シェリー君は思案顔をしながら眠る女を見て、一度大きく息を吸い込む。
「……さて、では一通り終わりましたので、後の事も考えて手早く済ませてしまいましょうか。」
三人の招かれざるゲストをおもてなしする事には成功した。しかし、問題は一切解決していない。
ゲストは三者三様村に忍び込もうとしてやって来ていた。
全員始末して、その上で送り込んできた輩に送り付けて見せしめにでもするのなら話は別だが、そうでなければまたやって来る。
再度やって来た連中を迎撃は出来る。ここでの足止めは短期間の時間稼ぎ以上の意味は無いので、連中の潜入を延々と遅延させてこちらの計画を強引に押し進めて誤魔化す事は出来なくもない。が、面倒この上無い。
今日来た招かれざるゲストは追い出さなければならない。
そして、招かれざるゲストには再度、準備が終わってから、来て貰う様に仕向ける。
さぁてリピーター様、またのお越しをお待ちしております。
その時は、また別の方法で歓迎をいたします。
無論、日に照らされて、正面から堂々と来る場合に限るがね。
体が痛い。寒い。
そんな感覚が全身から伝わってきて、自分が眠っているのだと気が付いた。
そして、眠っている訳がないと気付いて跳ね起きると同時に、全身が激痛で悲鳴を上げた。
「ぐッ………ぅぅ……」
特に首筋は焼ける様に痛い。しかし、そんな事は言っていられない状況の筈だ。
何故なら、自分は潜入中に何かに出くわし、その何かに気絶させられたのだから………
「なんだ?」
その筈だった…………
お姫様抱っこはお嫌いですか?私はアリです。
ブックマークといいねありがとうございます。
本日、2,000pv/hなんて数字をたたき出していたのですが、何が起こったのです?