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未来の黒幕系悪役令嬢モリアーティーの異世界完全犯罪白書  作者: 黒銘菓
モリアーティー嬢とモリアーティー教授
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自己紹介と胸の内

 これからこれから少しの間、酷さが加速するやもしれません。

 あくまで、意見の一つ、フィクションとして見て下さい。

 「大丈夫かね?シェ……いや、モリアーティー君。」

 モリアーティー。

 他人をそう呼ぶのが何だか不思議な気分だ。

 何故だろう………………?

 「…………貴方には関係無い事です。」

 「目の前であんなもの見せられて、『はいそうですか。』と、言える人間はそうは居ないと思うのだがね。」

ウッとえずく様な声を出す。

 「君は私に話してくれても罰は当たらんよ。

 話してくれないかね?君の事、そして、私のこの状態を………………」


 『私のこの状態』


 さっきの豚嬢は私を完全無視した。

 それは別に彼女が私を無視した訳では無く、見えなかっただけだ。

 豚嬢がモリアーティー嬢を虐めている間、私はとあるものを見た。

 鏡だ。

 鏡には今度は美少女が映ることはなかった。

 今度は映らなかった。何もだ。

 私の体や顔が鏡には映し出されなかった。

 モリアーティー嬢の『幽霊』発言や豚嬢の完全無視の理由がおそらく解った。

 私は今、幽霊なのだ。

 実体無き存在。

 しかし、彼女、モリアーティー嬢には見えている。

 不可解であるが、そう言う状態なのだろう。


 記憶喪失の幽霊。

 それが私か。

 最初の首吊りの件は解らないから、おいおい考えるとして………先ずは彼女の話しから聞こう。

 そうでもしなければまたしても首を吊りかねない。


 「先ず…一応君の名を聞こう。」

 「私の名前はモリアーティー。シェリー=モリアーティーよ。」

やはりモリアーティーという言葉に何か親近感を覚える。

 私はもしかしたら……

ビシビシビシビシビシビシ!!

 っ!!幽霊でも頭痛は起きるらしい!!

 「幽霊さん、あなたの名前を聞いても宜しくて?

 私の邪魔をした方の名前を教えて下さらない?」

 目の腫れは退いたが、その分なかなかな鋭さを増した。

 「私の名前。残念ながら私はそれを知らないんだ。」

 「……ふざけてらっしゃるの?」

 怒りを露にする。当然だろう。しかし、残念なことに真実だ。

 「残念ながら、私は自分の名やここが何処だか全く知らないのさ。 不思議と言葉や知恵は存在するのだがね。」

 「……変わった幽霊ね。」

 訝しげな眼で少女はこちらを正視する。

 「私は、幽霊なのかね?」

 そう訊く私に鏡を突き付ける。

 残念ながら私の姿は見当たらない。

 「鏡に映らない。

 姿が透けてる。

 コション………()には……見えてない。

 私の体を乗っ取って邪魔をした。

 どう考えても幽霊ですよ。」

 「フム………おぉ!」

 試しに扉に触れてみた。

 私の指は扉の感覚を捕えずに扉の向こうへと消えていった。つまり、素通りした。

 幽霊。というのを見たことがないが、少なくとも、私の知る人類は実体ある扉を素通り出来ない。

 素通りするように見せ掛ける方法は熟知している気がするが。

「『乗っとる』というのは…アレかね?幽霊の類いが生き物の体を好き放題操るという…。」

 「そうよ、あなたでしょう?私の邪魔をしてあんな動きをしていたのは………」

 乗っ取り………成る程。最初に鏡で見たのはそういう事か。

 あの時私が見たのは私が少女の体に乗り移ったが故に起こった出来事という訳だ。


 「…………なぜ君は死のうとしていた?

 あと、あの豚のお嬢さんはそんなに偉いのかね?」

 端的に問う。

 どう考えた所で首吊りとあの事態に因果関係が皆無だとは言えないのだが。

 「…………私は、もう生きるのが嫌になったんです。

 何をしていても辛いし、苦しいだけ。

 場違いなところに私みたいなのが居ると皆さん嫌がるのです。

 コション……様も、言っていたでしょう?………………………私はここには相応しく無いのよ。」

 そう言ってまたしても顔を赤くして泣き出し始めた。

 成る程。虐めを苦に自殺……か。

 「逃げれば良いだろう?

 タカが学生。追っては来ない。」

 これが大人だったり、復讐に呑まれた人間なら話しは別だがね。

 あれは本当に性質が悪い。

 「ッ‼簡単に言わないで!!

 私は特待生扱いでここに来たただの田舎の村娘なの!!

 相手は貴族の令嬢達。

 味方なんていない!!

 声を上げても喉が潰されるだけ!!私が結局悪いと責められるだけ!

 私が逃げたって皆に迷惑をかけるだけ!逃げられない!!………なら!!


 もう私にはこれしかないの(・・・・・・・)!!!!!!!」

 そう言って縄を手に取る。

 そうか…………………………………

 私は言葉を失った。







 「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………フフフフフフははははははははハハハハハ(・・・・・)ハハハハ(・・・・)!」

他人には聞こえないかもしれないが、笑い声が私とモリアーティー嬢の頭に響き渡った。


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