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タイム!!  作者: 音無奏
40/48

捕われた娘(こ)。

 また、時計を見た。


 先ほどからずっと見ている気がする。


 そして浅くため息。


 これも先ほどからずっとだ。


 下校時間まであと40分だ。

 あと40分逃げ切れば俺たちの勝ち。

 倉田は陸上部に入ることができる。


 倉田の実力は小学校の時点で証明されている。

 俺がたたき出した最高記録を、0.2秒も更新しているのだ。


 そんな倉田が今、陸上部に入ろうとしている。


 絶対、一緒に走る。

 走って、その速さを感じてみたい。


 そんな思いがあるからこそ、逃げる役まで請け負ったのだ。


 隣にいる、女子の制服を着た少年を見る。


 そして、もう一度思った。

 あと40分だ、と。


 だが、そううまくはいかないものだ。


 俺たちが隠れている図書館に、ラグビー部員が3人入って来たのだ。



「おい、あと40分しかないぞ。早く見つけろ。」


「ったく、どこにいるんだよ!?」



 そう言いながら、図書館内を歩き回る3人。


 俺たちは、とりあえず本棚を移動してやつらの死角に回る。


 早く出ていけよ…!


 軽く舌打ちをする。

 あまり目立つことはしたくなかった。


 その時、突然腕を掴まれた。

 まったく気配を感じなかったので、驚いた。

 すばやく後ろを振り返る。



「白河、見ーつけた。」


「…えっ?…萩、先輩…。」



 目を見開いて、つぶやくように言った。


 何でこの人がここに?


 衝撃より先に、そんな疑問で頭はいっぱいだった。



「あの教室からなら、図書館(ここ)が一番近いからね。」



 楽しそうに言って、俺の背後に隠れた少年に目を向けた。

 そして、満面の笑みを浮かべる。



「…そっちの()、弟くんだよね?さっき、ばっちり目が合っちゃったからなー。」



 言いながら、少年の腕を掴む。

 ものすごく抵抗するが、それも空しく萩先輩に捕まってしまった。



「あ…ちょっ!」



 俺の制止など聞く耳を持たず、萩先輩は笑顔だ。


 俺は、頬を冷たい汗が伝うのを感じる。



「弟くん、女子の制服でもめちゃめちゃ可愛いじゃん。…って、あれ…?」



 萩先輩が少年の顔を見た途端、驚いた顔になる。


 って、それもそのはずなんだけどな…。

 だから止めたのに…。



「あははは…こんにちは…。」


「…まぁーさーとぉー。」



 萩先輩はものすごい重低音で、女装した少年、亀川将人の名前を呼んだ。

 そして、その首を締め上げる。


 将人の頭からズラがずれた。


 二年の教室を出るとき、倉田と俺は別行動にした。

 一緒にいたらやっぱり危険だし。


 で、その身代わりが亀川将人。


 萩先輩と相性が良くないから、会わないようにしてたんだけど…予想外だよな。



「ぐぇぇぇー…しぇ、しぇんぱぁーい、助けてー。」



 将人が、萩先輩の腕をぺしぺし叩きながら、助けを求める。



「ごめん、将人。俺も捕まる訳にはいかねぇんだよな。」


「あ、そうだったな。…おーい、そこの3人!白河捕まえて。」



 ラグビー部員の野太い返事の少し後、結局俺は捕まってしまった。


 出入り口全部固められたら、どうしようもないだろうが…。


 頼む、倉田。

 逃げ切ってくれよ。


 不覚にも捕まってしまったので、残りは倉田ただ一人。


 祈るような気持ちで、俺は倉田に出した指示に思いをはせた。

萩先輩なら、気配くらい簡単に消せちゃう気がしますね。          身代わり作戦発動!?  っていう訳で、将人に犠牲になってもらいました。 残るは集一人!!    逃げ切れるのか!?   評価・感想待ってます。

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