非日常は突然に。
―――Are You Ready? ―――準備はいいですか? ついに、始まります。 決死の(?)鬼ごっこ!!
「起立、礼っ。」
「ありがとうございましたー。」
放課後、その時はやってきた。
担任が教室から出ていった途端、一気ににぎやかになる。
ななめ前の席の侑希が、後ろを向いて俺の方を見てくる。
何も言わないが、言わんとしていることは大体わかった。
「いよいよだな。」
俺が言うと、侑希はこくりと頷いた。
俺の数倍は緊張している面持ちだ。
思わず笑ってしまう。
「…なんだよ、緊張感のねーやつだな。」
いつの間にか隣に来ていた将人が、呆れたように言ってきた。
「放課後、なったけど…何にも起こらないな。」
複雑そうな顔で、侑希がつぶやくような小さい声でいった。
「確かに。異変なし。…どうすりゃいいんだ?」
今のところ、陸上部員どころかラグビー部員さえも見当たらない。
うーん、と将人たちは首をひねる。
「…まぁ、とりあえず着がえよーぜ。下、体操服着てんだろ?…制服、動きにくい。」
将人が学ランのホックを外しながら言った。
「そーだな。まだ、ホームルームが終わってねぇんだろ。」
俺も学ランのボタンを外しながら答えた。
「おーい、倉田ぁ。…ちょっと来てくんねー?」
ちょうど上を脱ぎ終わったとき、同じクラスの中井が俺を呼んだ。
やたら目立ちたがる中井を、俺はあまり好きになれない。
それに、にやにやと笑っていて、気持ち悪い。
「…なんだよ?」
「いいから、ちょっと来いって。」
適当に言い訳をして断ろうと思ったが、それも面倒くさい。
仕方なく、教室のドアのところにいる中井のもとへ歩いた。
楽しそうに人が行き交う教室をななめに横切る。
中井の気持ち悪い笑みが深くなった。
「おいっ、集止まれ!」
突然、将人の声がした。
反射的に振り返ると、上下体操服姿の将人がこちらに向かってくる。
だが、行き交う生徒たちに阻まれ、なかなかこちらへ来られない。
「なんだよ、将人?」
焦ったような表情の将人に、怪訝そうに尋ねた。
「っ…集、逃げろ!もう始まってる!!」
一瞬、将人の言葉の意味がつかめなかった。
だが、誰かが俺の腕をつかんだ瞬間、理解した。
「っつ…!」
腕をつかんだ手を乱暴に払いながら、振り返る。
そこには、中井の姿があった。
「悪く思うなよ、倉田。…先輩命令なんでね。」
こいつ、ラグビー部員だったのか!?
とっさに逃げ道を探す。
左右、後ろには机。
そして、前には中井。
逃げ道が…ない。
くそっ、こんなやつに捕まっちまうのかよ!
「うわぁぁあっ!!」
突然、大きな声と共に俺の前に道ができた。
教室内の視線が、一気に集まる。
「集っ!早く逃げろ!」
中井を羽交い締めにしながら侑希が言った。
俺は、ただ驚いた。
侑希がこんな…大胆な行動に出るとは思わなかったのだ。
そんな気持ちを押し殺して、俺は勢いよく走りだした。
ごちゃごちゃ考えている暇はないのだ。
もう、ゲームは始まっている。
非日常に突入してしまったのだ。
萩先輩が後手に回るなんて考えられません!! もちろん、先手必勝。 後輩だってガンガン利用します。 集はどうなるんだ!? 評価・感想待ってます。




