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タイム!!  作者: 音無奏
29/48

世の中はカラクリのように。

 ボールが飛んできた方向を見ると、萩先輩がいた。 すごく、不満顔である。

 だが、すぐに面倒くさそうな表情にかえた。


 無論、陽子のせいだ。

 将人にボールを直撃させた相手を、この女が許すはずがない。



「てんめ、捺芽。将人に何してくれんねん!」



 萩先輩に詰め寄りながら、陽子はすごい剣幕で言った。



「ったく、陽子。何だよ、兄貴に向かってその態度は…?」



 萩先輩の発言に、俺たちの間で一瞬沈黙が起こる。


 俺は自分の耳を疑った。



「あ、兄貴!?」


「って、陽子のかっ!?」


「ありえへん!雰囲気ちゃうやん!」



 俺たちはそろって似たような反応をしめした。

 そばにいる葵が苦笑している。



「…何だよ?陽子の名字知らねぇのかよ?」



 顔をしかめ、頭をさすりながら将人が言った。



「確か……萩、陽子?」

「けど普通、兄弟って考えねぇよ!」


「将人…くん、に対する接し方も真逆やしな…。」



 佐野は陽子からの鋭い視線を受け、慌てて言い足した。


 ああ、何かもう…わけがわからない。



「…大丈夫?」



 気遣うように葵が声をかけてきた。


 こんな優しい子がいるから、陽子はむちゃくちゃできるんだ…世の中良くできているのかいないのか。


 俺が考えていると、葵は将人の方を向いてすまなそうな顔をした。



「ごめんね、将人くん。でもね、陽子ああ見えても優しいから。…あ、将人くんの方が良く知ってるんだよね?」


「…うん。」



 そう言う将人の表情は複雑そのものであった。


 そんな将人に気付かず、葵は陽子の方へ歩み寄る。



「陽子、もう部活見て帰ろうよ。」


「せやけど、葵…」



 陽子が後ろを向いて、葵の顔を見る。

 途端、態度が一変した。



「…わかったっ、帰る!せやからそんな顔せんといて!」



 俺たちからは葵の背中しか見えない。

 だから、今葵が陽子にどんな顔を向けているのかわからなかった。


 だが、あの陽子さえも屈服させる顔である…想像できない。



「…ほんなら、また明日な将人っ!」



 言いながら去っていく陽子の後ろ姿を見て、将人がため息をついた。

 ほぼ同時に佐野もため息をつく。


 この二人…怖いくらいに似てるな。


 俺はそう思わざるをえなかった。

萩先輩と陽子ちゃん、兄弟にしちゃいました。   それぞれ、将人とは共通の思い出がありまして…。 それがきっかけで、陽子ちゃんは猛烈にアタック(?)し、萩先輩はいじわるをするという今に至るわけですね。          いつか番外編書けたら、そのへんをあきらかに…。 本編はなかなか進まないですね、すみません。   これからもお付き合いお願いします。

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