“ゲーム”結託。
一日遅れました、すみません!!
「よぉ、峰川。何で陸上部がこんなとこにいるんだよ?」
萩は、こちらへ歩いてくる長身の男に向かって言った。
「…何で、じゃねーだろ。勝手に俺たちのルーキー連れて行きやがって。」
「だってぇー、弟くんはラグビー部がいただくもん。」
「…弟くん?」
形のいい眉を寄せて、峰川は聞き返した。
それに対し、萩は不機嫌そうに口を開く。
「えー…。何、みんな知らねぇの?ラグビー部最強のラインだった、倉田孝介先輩の弟くんなんだぜ?あの子。」
「ふーん。」
萩は熱弁するも、峰川の反応は薄い。
つまんねぇの、萩はつぶやく。
「つーか、夏原はどーしたんだよ?あいつ部長だろ?副部長のお前を使いに出すなんざ、俺たちもなめられたもんだねぇ。」
「…お前も部長じゃねーだろ。」
「いーの、俺たちは。」
子どものようにつーん、として萩が言う。
そんな萩のマイペースさに呆れたように、峰川は露骨にため息をついた。
萩はふん、と鼻を鳴らす。
「…とにかく、倉田は返してもらうからな。」
「嫌だねー。」
「あのな、倉田はラグビー部に入る気はないんだぞ?」
その言葉に、萩は一瞬きょとんとした顔を見せて、くすくすと笑いだした。
峰川は顔をしかめる。
「…何がおかしいんだ?」
「…いやっ、別に。…それより、いいぜ?弟くん返してやっても。」
「…どういうことだ?」
今までとはまったく違う発言に、峰川は怪訝そうな視線を萩に送った。
「あらら、そんなに警戒しちゃうの?」
「お前に限ってな。」
そう言い切った峰川に、萩は舌を出す。
いたずらっぽく肩をすくめて、鋭い子は嫌いだなぁとつぶやいた。
そして、軽くのびをする。
その様子を峰川は静かに見つめていた。
「んー…まぁ、峰川くんの予想通り、ってトコなんだけどねぇ。鬼ごっこ対決ってどうよ?」
「…鬼ごっこ?」
萩が言う予想もしなかった言葉を、そのまま峰川は返した。
「そっ。弟くんを俺たちが捕えりゃ俺たちのもん、逃げきれば君たちのもん。」
「…倉田一人じゃ、俺たちが不利だ。」
「守ってやればいいじゃん、陸上部?」
なおも不満顔の峰川に、萩は指を左右に振った。
「そんなカンタンなゲームにするつもり、ないくせにさ。…要はココだろ、峰川くん?そっちには、君がいる。」
言いながら、降っていた指を頭に持っていく。
こともなさげに“ゲーム”と言うが、峰川は気にとめなかった。
「でも…そっちには、お前がいる。」
「俺っ?…冗談。」
心底驚いたように、萩は目を真ん丸にした。
それに気付いてか、峰川は言葉をつめる。
「それは、どうだろうな?」
「…ったく、何を言い出すやら。」
萩は呆れたように肩をすくめながら、まっすぐに注がれる峰川の視線から逃れた。
「とにかく、俺たちが不利って訳だ。」
「…しゃーないなぁ、弟くん以外に一人つけてもいいぜ。峰川くんだけにト・ク・ベ・ツ。」
「…俺、だけ?なんだよそれ。」
「へっ?…まっ、まぁいろいろと、な?」
萩は渋い顔をして、語尾をにごす。
「…まぁいい、受けてやるか。」
少し考えてから峰川は答えた。
そして、いたずらっぽく笑う。
初めて見る目の前の男の表情に、萩は身構えた。
「…サッカー部もハンデつけてやれよ。大牧が喜ぶぜ?」
ちぇっ、わかってんじゃねーか…萩はバツが悪そうに舌を出す。
「期日は明後日、場所は校内。わかったらさっさと行け。」
しっしっ、と手を振りながら萩は言う。
だが、思い出したように萩は立ち去ろうとする峰川の背に声をかけた。
「…あっ、待て峰川。」
振り返ったのを確認すると、にやりと笑う。
「弟くんによろしくな。」
その言葉に冷ややかな視線で答え、峰川はきびすを返した。
それを苦笑しながら見送る萩の視界に、将人の姿が目に入る。
その姿を確かに認めた途端、萩はかたわらに落ちていたラグビーボールを掴みあげた。
「まぁーさとぉー!!」
その網目に指を合わせ、将人に向かって思いきり投げた。
クリーンヒット!
将人はよろけた。
ついに、萩先輩たちとの直接対決の舞台が整いましたねー!! が、当日までまだちょっと書きたいことがあるので…お付き合いお願いします。これから、更新が不定期になるかもしれませんが、ご了承ください。




