将人クンは誰のもの?
「ぐぁっ、よっ…陽子っ!?苦っ…しい。」
「めっちゃ久しぶりやん、将人!」
「はっ、なっれろー!」
「ええやん、別に。あっ、照れてんの?可愛いー。」
目の前で繰り広げられる光景に苦笑した。
隣の侑希を見ると、同じように苦笑してこちらを見た。
陽子の将人に対する、この強烈なアタックは毎度のことで。
ああ、またか…、程度で俺たちはすませている。
ただ一人、佐野だけが目をぱちくりさせて戸惑っていた。
多分、これが普通の反応なんだろうな…。
そんな将人たちの様子を見るに見かねて、葵ちゃんが陽子をなだめる。
「陽子、離してあげないと将人くん、苦しそうだよ。」
「あ…せや、将人離さなあか…」
そこまで言って、佐野は口つぐんだ。
陽子がものすごい剣幕でにらんでいるのだ。
陽子は将人を離し、佐野を見据える。
「うぇっ…何や悪いこと言うたか、俺!?」
困惑した顔を向けて言われた。
俺は哀れみの表情で佐野に説明する。
「陽子は、自分以外の人間に将人クンを呼び捨てにさせたくねぇんだ。…つまり将人クンの呼び捨てはタブーって訳。」
「んな事、俺知らんで!?」
「…陽子に言い訳は通用しなっ…」
俺の言葉はそこで切れた。
陽子が背後から佐野の肩を掴んだからだ。
佐野がびくりと体を震わせる。
「自分…将人の何やねん?」
「ぅえっ!?」
急な質問にうまく反応できない佐野に、陽子はさらに詰め寄る。
「何なんや?答えてみぃ!」
危険信号が黄色に変わったのを感じる。
俺はとっさに佐野の脇腹を軽く殴った。
そして、目で合図する。
すぐに俺の言わんとしついることを理解し、佐野は口を開いた。
「おっ、俺は…俺は将人の友達や!」
佐野は、すがすがしいまでに言い切った。
俺はため息をつき、こめかみを押さえる。
こいつは、人の話を聞いていたのだろうか?
数秒後、自分の失言に気付いた佐野はしもたっ、とつぶやいた。
だが、時すでに遅し…。 陽子は半眼になっていらっしゃった。
「…っへー。“将人”、なぁ?自分らそーいう関係なんや?」
佐野の肩を掴む手に力を加えながら、陽子は佐野と将人を見比べた。
当の二人は、え゛ー!?といった顔をしている。
しかし突然、陽子は力なく佐野の肩から手を離し、うつむいた。
今までとまったく違う雰囲気に佐野がうろたえる。
大丈夫か?と佐野が声をかけようとしたとき、陽子がつぶやいた。
「…さへん。」
「えっ…?」
「…絶対将人は渡さへん!!」
がばりと顔を上げ、陽子は怒鳴るように言った。
そして、将人に飛びついていく。
「うわっ!?よっ…よよよよ陽子っ!ちょっ…離れ゛っ…!?」
突然のことに、慌てふためく将人。
そんな将人の頭に、ラグビーボールが直撃した。
すみません。 エセ関西弁ですみません。佐野に続き、陽子もそういう設定です。 けど、番外編ではその設定が必要でして…。 いつか、番外編も公開できたらなぁ…なんて考えてます。 イライラする方もいらっしゃるかと思いますが、これからもお付き合いお願いします。




