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タイム!!  作者: 音無奏
19/48

事態は思った以上に深刻だった。

連続投稿記録が途絶えてしまった…。これからもがんばりますので、お付き合いをお願いします。

 入ってきた人物が、ぱちんと電気をつけた。

 部屋が一気に明るくなる。


 その光がまぶしくて、目を細めた。



 明かりに慣れてきた頃、ドアのところに立っていた人物が部屋の中に入ってきた。

 その人物に目を向ける。



「…孝兄。」


 部屋に入ってきたのは、兄の孝介であった。


 いつものふざけた感じではなく、バツの悪そうな顔をしている。



 体をベッドから起こす。 なんとなくではあるが、孝兄が来た訳がわかった気がする。



「…集、あのな、今日は入学式だったんだよな?」



 そうだよ、といきなりの質問にあまり驚くことなく答えた。


 そんな俺を見て、孝兄は軽くため息をついた。

 そして、諦めたように問かけてくる。



「…って、もう何が言いたいのかわかってんだな。」



 その問いに微笑んで答える。

 はぁ、ともう一度ため息をついた。



「だよなー、お前変にカンがいいからなー。」



 言いながら、ベッドのふちに腰かける。

 口調がいつもの孝兄のものになっていた。



「でさ、あのラグビー部員達は何なんだよ?」



 単刀直入に聞くと、孝兄がびくっと震えた。



「…え、いや。俺の後輩…だよな。」


「そんな事わかってるよ!何で、俺を無理矢理入部させようとしてるんだよ!?」


「そ、それは…。」



 言い寄っていくうちに孝兄の声は小さくなっていった。



「孝兄っ!!」


「……集、悪い…。」



 しばらく黙りこんだ後、孝兄は言いづらそうに口を開いた。



「俺、卒業式の日さ、テンション上がっちゃって…お前のこと、ついさ…」


「つい…どうしたんだよ。」



 何となく嫌な予感がする。


 孝兄が弱々しい笑みを浮かべた。



「…つい、お前のこと頼むぜ、って言っちまった…。」


「……はぁ?…そんな一言だけで、普通あそこまでするか?」



 俺が言うと、孝兄は渋い顔を作った。

 まだ、続きがありそうだ。



「…いや、走るのがな、お前めちゃくちゃ速いだろ?そのこともつい言っちゃって…。」


「なっ…。」



 言葉が出てこない。


 台坂中学ラグビー部といえば、最強のラインとランナー不足で有名である。

 そんなところに、陸上の得意な倉田孝介の弟、つまり俺の話をするなんて…。


「いや、マジですまん!!このとーりっ!」


「そんな事言われても。…でもさ、さっさと陸上部に入ればそれでいいんだろ?割と簡単じゃん。」


「……いや、それがな…。」



 そこまで言って、孝兄が言葉を切った。



 まだ、悪い知らせがあるのかよ…。



「それが…俺、あいつらに渡しちゃったんだよな…お前の入部届…。」


「はぁっ!?」


「すまねぇ、集!」



 何も言えなかった。

 口にする言葉が見付からない。


 事態がここまで深刻だとは…。



「…じゃあ、何で萩っていう先輩はさっさと入部届を出さないんだよ?…もしかしてなくしたんじゃ…?」



 そこまで言って考える。 あの先輩に限って、そんなことがあるのだろうか…?



 いや、ありえねぇ!!


 じゃあ、どうして?



「入部届には本人の署名が必要なんだよ。…それに、勝手に出したってお前の承諾ナシじゃ意味ないだろ?」


「それなら、その入部届あってもなくても一緒じゃん。」


「…いや、萩のことだ、絶対に何か仕掛けてくる。油断するんじゃねーぞ、集。」



 やっぱり、萩先輩は恐ろしいんだな…。


 理解を深めて、絶望する。



「てか、渡した張本人が何偉そうに言ってんだよ。バカ兄貴!」


「集くん、ひどいやー。」



 反省の色のまったく見えない声で、孝兄が言った。



「あー、もうっ!さっさと出てけ、バカ兄貴!」



 言いながら、ベッドに突っ伏す。



 数秒後、部屋のドアが開き、閉まる音がした。



 ゴロンと寝返りをうち、仰向けになる。

 頭の中で今日あったことが反すうされた。



 これから1週間が勝負なのか…。

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