結果オーライ?
とりあえず、頭を整理して考える。
今わかっていることは、拉致されかけているということ。
しかも、ラグビー部員に…。
これって、ヤバイ状況だよ…な。
心の中でむなしくつぶやく。
そして、俺はとりあえず逃げ出すことを考えた。
この状況じゃ方法は限られているが…。
はっ、と短く息を吐く。そして、俺をかかえている腕を振り払った。
まさか、ラグビー部員から逃げようとするとは思ってもいなかったらしい。
俺の体は案外簡単に解放された。
俺自身、かなりせっぱ詰まっていたのでそんな考えしか浮かばなかった、というのが本当のところだ。
とりあえず、結果オーライである。
間合いを取ろうと一歩後ずさる。
だが、それと同時に、ガクンと目の前が上がり、体が後ろに傾いた。
階段を踏み外してしまったみたいだ。
「っつ…!」
萩の驚いた顔が一瞬見えて、その後真っ青な空が目に染みた。
反射的に目を閉じる。
その時、風を感じた…。
だが、その風は走っているときとは全く違うものであった。
―怖いっ―
言いようのない恐怖が全身をこわばらせる。
「倉田っ!!」
自分を呼ぶ声がすぐ近くで聞こえた。
その瞬間、バスンッ!という鈍い音と同時に、全身に振動を感じた。
だが、不思議と大きな衝撃はない。
ゆっくりと目を開ける。 青い空が目の前に広がった。
乾いたせきが幾度か出る。
「…ってぇー…。」
ふいに、自分の下で声がした。
がばっ、と体を起こして下を見る。
そこにいたものを見て、俺は少なからず驚いた。
「…佐野!?」
俺の下には佐野がいたのだ。
どうりで、衝撃が少なかったわけだ…。
自分の身に何が起こったのか、やっと理解できた。
「…おー、倉田。…無事なら、ちょっと、降りて…くれ。」
苦しそうな声で言う佐野の上から、慌てて降りる。 佐野がふぅ、と息をついた。
「…大丈夫やったか?」
俺の目をまっすぐに見て、佐野がそんなことを聞いてきた。
「お前のほうが大丈夫なのかよ!?」
俺が言うと、佐野はにっ、と笑って、わずかに顔をしかめた。
「…ったく、無理すんなよ。」
そう言って俺は、佐野に手を差し出した。
苦笑しながら佐野は、その手を握ってゆっくりと体を起こした。
会話文、少なかったですね…。なかなか話が進んでくれません。 本題突入!!したつもりでしたが…さわりから抜け出せないです。 ちょびちょび進んで行くので、お付き合いお願いします。




