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タイム!!  作者: 音無奏
15/48

結果オーライ?

 とりあえず、頭を整理して考える。


 今わかっていることは、拉致されかけているということ。

 しかも、ラグビー部員に…。


 これって、ヤバイ状況だよ…な。

 心の中でむなしくつぶやく。


 そして、俺はとりあえず逃げ出すことを考えた。

 この状況じゃ方法は限られているが…。


 はっ、と短く息を吐く。そして、俺をかかえている腕を振り払った。


 まさか、ラグビー部員から逃げようとするとは思ってもいなかったらしい。

 俺の体は案外簡単に解放された。


 俺自身、かなりせっぱ詰まっていたのでそんな考えしか浮かばなかった、というのが本当のところだ。

 とりあえず、結果オーライである。


 間合いを取ろうと一歩後ずさる。


 だが、それと同時に、ガクンと目の前が上がり、体が後ろに傾いた。

 階段を踏み外してしまったみたいだ。



「っつ…!」



 萩の驚いた顔が一瞬見えて、その後真っ青な空が目に染みた。

 反射的に目を閉じる。


 その時、風を感じた…。


 だが、その風は走っているときとは全く違うものであった。



―怖いっ―



 言いようのない恐怖が全身をこわばらせる。




「倉田っ!!」



 自分を呼ぶ声がすぐ近くで聞こえた。


 その瞬間、バスンッ!という鈍い音と同時に、全身に振動を感じた。

 だが、不思議と大きな衝撃はない。


 ゆっくりと目を開ける。 青い空が目の前に広がった。

 乾いたせきが幾度か出る。



「…ってぇー…。」



 ふいに、自分の下で声がした。

 がばっ、と体を起こして下を見る。


 そこにいたものを見て、俺は少なからず驚いた。



「…佐野!?」



 俺の下には佐野がいたのだ。

 どうりで、衝撃が少なかったわけだ…。


 自分の身に何が起こったのか、やっと理解できた。



「…おー、倉田。…無事なら、ちょっと、降りて…くれ。」



 苦しそうな声で言う佐野の上から、慌てて降りる。 佐野がふぅ、と息をついた。



「…大丈夫やったか?」



 俺の目をまっすぐに見て、佐野がそんなことを聞いてきた。



「お前のほうが大丈夫なのかよ!?」



 俺が言うと、佐野はにっ、と笑って、わずかに顔をしかめた。



「…ったく、無理すんなよ。」



 そう言って俺は、佐野に手を差し出した。

 苦笑しながら佐野は、その手を握ってゆっくりと体を起こした。

 会話文、少なかったですね…。なかなか話が進んでくれません。       本題突入!!したつもりでしたが…さわりから抜け出せないです。      ちょびちょび進んで行くので、お付き合いお願いします。

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