ある意味、障害物走。
「よっしゃ!ほんなら、行こか!」
えっ、どこに?
といった感じで、三人は佐野の方を見る。
佐野は、それを見てあからさまに顔をしかめて、言った。
「ったく、ノリの悪いやつらや、ほんまに…。」
大げさに嘆き、そんなことをつぶやきつつも、佐野は続ける。
「自分ら、部活見に行くんやないんかい?」
「そうだった。…じゃあ、行こうぜ!」
将人が、思い出したように言ってカバンを持つ。
そして、俺、佐野、侑希の顔を順番に見てニヤリと笑った。
長い付き合いである、俺と侑希の頭には嫌な予感がよぎる。
佐野は顔を引きつらす俺たちを見て、不思議そうに首を傾げた。
「…そんじゃ、とりあえず、ナオの歓迎かつ実力調査ってことで、グランドまで競走しようぜ?」
将人の言葉にやっぱり…、といった感じに俺と侑希はため息をついた。
だが、佐野は顔をキラキラと輝かせている。
そんな佐野を横目でちらりと見て、侑希と顔を見合わせた。
この二人やっぱり似てるよな…。
そんなことを心の中でつぶやき合って、同時にまたため息をついた。
「そんじゃ、行くぜ?」
将人がスタンディングスタートの体勢で前を見据えた。
それをまねて佐野もその体勢をとる。
仕方なく、俺たちも前を見据えた。
「…用意っ、スタート!!」
将人が言う。
と、同時に四人は駆け出した。
教室を出て、ローカに飛び出す。
ローカで話し込んでいる生徒たちをうまく避けながら階段を降りていった。
さすがっ、やりよるでこいつら…。
直一は走りながら思った。
せやけど…、
そうつぶやいてタンッと地面を強くける。
途端に加速して四人の先頭に立った。
「俺も、負けられへんねん!」
階段を転ばずに、ものすごいスピードで降りていく直一を見て、三人は楽しそうに笑っていた。
「さっすがー…!関西人やるなー。」
将人が楽しそうに言いながら口笛を吹く。
「…ったく、俺たちも負けられないっつー訳か…。」
言葉では、面倒くさそうに言う侑希だが、顔はキラキラと輝いている。
「…っしゃ、そろそろマジで行きますかぁ…。」
俺の言葉に、将人と侑希が声を上げて笑った。
「…お前のマジが、俺にどれだけ通用するかな?集くーん?」
将人の挑発に俺は笑って答えた。
侑希はそれを呆れたように見ている。
一瞬後、三人は一気に加速して一階を走り出した。




