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掌編小説集5 (201話~250話)

上位の会話

作者: 蹴沢缶九郎

ある競技で世界一位の男が、余裕綽々と言った。


「ああ、追われる身も辛いものだ」


その言葉を側で聞いていた世界二位の男が言う。


「安心してください。あなたの座はもうじき私が頂きますよ」


「楽しみにしているよ」


そんな二人のやり取りに、世界三位の男が加わる。


「お二人さん、俺の存在を忘れてもらっては困る。虎視眈々とあんたらの座を狙っているんだぜ」


そこに世界七十億位の男がやってきて言った。


「皆さんの苦しみ、お察しします」


しかし七十億位の男の言葉に、世界一位の男は、


「おいおい、勘弁してくれ。あなたに何がわかるのだ」


とあきれ、世界二位と三位の男も、


「申し訳ないですが、あなたに言う権利は…」


「そうだ、お前のような底辺の順位の奴が偉そうに意見するな」


と、世界七十億位である男を見下した。だが世界七十億位の男に怒る様子などは微塵もない。


「やっと見つけたぞ。今度こそはお前に勝ってみせる」


と、その場に突然現れた宇宙二位の男は、世界一位、二位、三位の男達の存在などには意にも介さず、世界七十億位の男に宣言した。世界では七十億位であり、宇宙では一位の男は、四人の男達を一瞥すると、勝ち誇ったように言った。


「先に世界一になっても良かったのだけどね…。ああ、追われる身も辛いものだ」

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― 新着の感想 ―
[一言] なかなかに鋭いオチ。 私も明日から「宇宙一小説の上手い奴」って宣伝します(笑)
[一言] >「先に世界一になっても良かったのだけどね…。ああ、追われる身も辛いものだ」 一度は言ってみたいセリフですね。ただ使う機会なさそうですが。
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