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見習いの悲哀
この世は残酷だ。
どんなに努力したとしても得られぬものがある。
それが自分の人生をかけて求めたものならなおさら。
しかし、青年は瞳に炎を灯し、「騎士」に至ろうとした。
この世には神々の贈り物、「ギフト」と呼ばれる力がある。
あるものは圧倒的な膂力を、あるものは膨大な魔力を、速さを、思考力を、あるいは理の外にある力を得た。
青年は守るために強く在りたかった。
立ちはだかるのは才能、ギフトの壁であった。
それでも青年は諦めず、研鑽を止めなかった。
青年の名前はローラン。
青年は、古の聖騎士の名を継ぎながら、ギフトの発現が認められなかった。
そのため秀でた技量と騎士としての誇りを持ちながら騎士として認められなかった。
そうして、ローランの見習いとしての永い生が始まる。