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LOST  作者: 闇無深雪
幼少編
2/2

 






 ………トントン、ガチャ。



「おはよう、ユカちゃん」



 金髪セミロ ングの美女が入ってきたのは、調度確認し終えた時だった。

 この透き通るような空色の瞳をもった、若い美女は俺の母親である。

 名前は、セイラ・グラザー。

 見た目は女子高生で、母親には全くと言っていいほどみえない。

 前世の俺の方が先輩という感じだがこれでも25歳。

 むしろ母親というより姉と言ったほうがしっくりときてしまう。



「おはよーまま♪」


「あら、もう着替えたのね偉いわユカちゃん」



 笑顔でほめてくれたのだが、何故か目が少し残念そうだ。

 そんな目を向けられても、この境界線は譲れない。

 だから、駄目だってな。

 いい加減諦めてくれ母さんよ。



 グゥ~~!



 俺の御腹の虫が鳴いちまった。

 何故今鳴く……確かに話を替えるいいタイミングだが、俺は食いしん坊なキャラになるつもりはないんだ。



「………ぅう」



 頬を赤らめ、俯いてしまう。

 どうも、体につられてしまっているのか……こういった態度がでてしまう。

 俺は精神まで女になるつもりはない、これはどうにかせんといかん精神も鍛えないといかんな。

 一人決意を固めていると、母さんから微笑ましげな視線を感じた。



「っん?」


「ふふふ♪ お顔を洗ってから、朝御飯にしましょ う」


「うん」








 食堂には、既に父さんと兄がいた。



「ユカちゃんおはよう」


「おはようユカ」


「おはようパパ、くろにぃ」



 俺は兄の隣にある、専用の椅子をよいしょと登り座る。

 座り終えた時には、皆から温かい視線が集まり、 なんだか非常にくすぐったい。

 くそっ、早く成長しないかな本当に。

 このままだと、精神的にもたないくすぐったすぎる。



 そんな俺を、惚気た表情で眺めている銀髪のイケメンは、レオカード・グラザー。

 不良のような見た目だが、真面目に軍隊で働く俺の父親だ。

 26歳とまだ若いが、軍隊ではなかなかいい役職についているらしい。

 だから、家は貴族ではないがそれなりに裕福な生活をしている。

 因みに母とは学院の同級生で父さんの一目惚れらしい。


 そして、隣にいるのは四つ上の兄“クロウ・グラザー”。

 兄の方をみると優しく微笑み、手を俺の頭の上に優しく乗せ 、ゆっくりと撫でてくる。


 ………何故撫でるんだ、ええいやめろ。別に撫でられても嬉しくないんだからな。


 と思いつつ無抵抗に撫でられ続ける。

 今の俺は幼い妹だ、抵抗するのは変だしな仕方なく撫でられてやっている。

 別に撫でられるのが気持ちいとかそんなんじゃないからな。

 目が細くなってるのは、眠いからだ、ほんとだからな。


 父親から受け継いだ銀髪に母親似の端正な顔立ち。

 例えるならば、絵本の中の王子様ってところだな。

 きっと将来は、女性がほっとかないな。

 マジで羨ましい、前世の俺が不憫に思えちまう。



「…………朝御飯の準備するから待っててね♪」



 母さんはそう言うと、鼻唄混じりでキッチンに向かう。

 私たちもそれぞれ、返事をした。






 目の前に朝御飯が置かれ、母さんも椅子に座る。



「「いただきます!!」」


「いちゃっ……ぅう~~~」



 痛ってぇ、舌噛んだ!!

 滅茶苦茶痛い、思わず涙目になる。

 何でみんなそんな笑顔をむけてるんだよ。

 凄い痛いんだぞ、血でてるんだぞ、心配をしてくれ。

 そして兄よ、何故また撫でる!


 ええい!やめろ、それどころではないんだ!


 舌千切れてないか、大丈夫なのか?!


 触ってみる……とりあえず千切れてはいないようだ。

 ただ、鉄の味が口のなかに広がる。



「大丈夫、ユカちゃん?

とりあえずお口ぐちゅぐちゅしにいこうか、ね?」



 母さんが席をたち、俺を抱き寄せる。

 あなただけだよ、俺を心配してくれるのは。

 俺は母さんの豊満な胸に飛び込む。

 けっしてやましいきもちなどはこれっぽっちもないからな。




「ぐちゅぐちゅっっぺ…」



 洗い場で口をゆすぐ。

 案の定透明だった水が、赤くなっていた。



「じゃあ口をあーんして、ユカちゃん」



 何回かうがいをし、母さんの方をむき口を大きくあける。



「あ~~~~~~」


「ちょぅとそのままでいてね――《治癒(ヒール)》」



 母さんは人指し指一本をたて、治癒(ヒール)そう唱えた。

 すると、指先に淡い光の粒子が集まり、次第に一つの大きな光の塊(ビー玉より少し大きめ)となる。

 その光の塊が俺の口のなかに入ってきた。


 暖かくて冷たい、何か変な感じがする。


 その感覚が消えると、俺の舌にあったジンジンも消えてなくなった。



「よし、これで大丈夫よ♪」


「ありがとーママ♪」



 鏡で傷が無くなってるのを確認し、母さんに満面の笑みをみせる。

 母さんは嬉しそうに頬にてを当てる。

 そのしぐさは母さんが気分が良い時にやる癖だ。

 その姿をみるのは俺も嬉しい。

 家族っていいなぁ。

 俺はそんな思いを噛み締める。



 ……………ああ、言い忘れていた。

 さっきのは魔術というものらしい。

 この世界には、魔術が存在しているのだ。

 そう、俺が転生したのは異世界らしい。

 これを知ったときはテンションがあがった。

 幼い頃から、練習すればチートになれるのではと思い、練習しようとしたのだが。

 どうやら、まだ使えないらしい。

 魔術回路というとのがまだ無いとのこと。

 俺は落胆した………が、それも今日までだ。

 俺は今日、魔術回路を手に入れに出掛けるのだ。

 別に魔術回路を買いに行くって訳じゃない……ん?いや、あながち間違ってはないかもな。

 だって教会でお布施てきな物を渡し、神託のようなモノを受け魔術回路を手にいれるのだから。

 教会から魔術回路を買うと言ってもいいだろう。


 ああ、楽しみだ教会に行くのはお昼頃だ。


 早くお昼になってくれ………!








 朝食を終え、父と兄は支度をし始めた。

 二人はそれぞれ、仕事と学校に行く時間だ。

 俺は母と一緒に玄関までいく。



「……くろにぃ♪」



 魔術回路を手に入れるということで興奮していたのか、靴を履いていた兄の背中に抱きついてしまった。

 兄は大して驚きもせず、幼児とはいえいきなり抱きつかれればよろめきくらいはするが、全くよろめきもしなかった。

 兄は昔から父に剣術や体術等を習っているので、引き締まった身体をしている。

 だから、小さな俺がいきなり飛びついても倒れたりすることはないので、安心して飛び付けるのだ、ふふん凄いだろ♪


 って何を嬉しそうにしてるんだ!?

 男が男に抱きつくなど需要はないぞ!

 まして兄弟で………いや、今の俺は妹か、ならいいのか?

 いや、俺は精神まで女になるつもりは………。




「元気だな、ユカ!」


「……早く帰ってきてね」



 そして、俺に魔術の事を教えてくれよ兄さんよ。

 両親は俺にはまだ早いし危ないといって教えてくれないだろう。

 だから、学校で習い始めた兄さんが頼りなんだからな。



「なるべくね……だから、良い子で待ってろよ」



 そう言うと、頭を撫でてくれた。

 兄は、どうやら頭を撫でるのが大好きみたいだ。

 まぁ、いいだろう教えてもらえるならやすいものだしな。



「えへへぇ~♪」



 最大級の笑みもプレゼントしてやる。

 まあ、嫌いではないしな。



「………あっ」



 そろそろ行くみたいで、兄の手が離れた。

 いや、名残惜しいとか思ってないが、いきなり離れたんで声が出てしまっただけなのだ。


 丁度、両親のいってきますのキスも終わったみたいだ。

 ん?おれが抱きついた時くらいからしてたぞ?



「いってらっしゃい、くろ兄、パパ」


「二人とも気を付けてね」


「ああ行ってくる、ユカも頑張るんだぞ」


「うん♪」


「母さんユカ、いってきます」



 二人は、呼んでいた馬車に乗り込み出発した。

 さて、俺達も準備しますか。









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