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LOST  作者: 闇無深雪
幼少編
1/2

 






 ……………チュンチュン。


 睡んでいた意識がゆるりと浮上し、目が覚める。

 どうやら小鳥の囀りで起きたようだ。

 上半身をゆっくりと起き上がらせ、腕と背筋を伸ばす。



「んっ……ぁあっ!」



 眩いほどの陽射しが、暖かくて気持ちいい。

 ようやく暖かくなってきた。

 こないだまで朝はひえきっていて、布団から出られなかったしね。

 清々しい朝に、思わずほほが緩む。



「~~~~~~♪」



 いつもなら至福の二度寝を貪るのだが……生憎、今日は予定がある。

 だから二度寝をするわけにはいかない。

 ………でも、本当に絶好の二度寝日和だなぁ。



「……よし」



 まだ名残惜しいが、気合いをいれベッドから出る。

 そして、既に用意されている服に手を伸ばす。

 淡い水色のワンピース………確かに可愛い。


 可愛いけども()が着るには、まだ抵抗を感じる。


 それでも、着るしかないんだけども…………。



「―――――はぁ」



 着ている寝間着を脱ぎ、ワンピースに腕を通す。

 最初は一人で着替えられず、母親の着せ替え人形になっていたのだが。

 最近ようやく一人で着替えられるようになった。

 これも日頃の努力の賜物である。

 何故か母親は名残惜しそうな目をしていたのだが、ここは絶対譲れない。



「……んっしょ。できました」



 鏡の所まで行き、確かめる。









 …………………………。










「………やっぱり」



 鏡にうつるのは、背中まで伸びた薄桜の様な綺麗な髪と、透き通った青い瞳、白磁のような白い肌もった、天使の様な4歳の幼女。


 ユカ・グラザー。


 それがこの天使の名前だ。

 試しにと両頬をつまみ、伸ばしてみた。


 ………もにゅっ。


 鏡の中の天使も同じ様に伸ばしている。



「……ひはふひゃい」



 ってことは夢?…………………じゃないよな。


 痛くないのは、染み一つないぷにぷにする超柔肌のおかげだ。

 これが今世の俺の姿だと改めて認識した。

 溜め息が微かに漏れる。

 別にコンプレックスを抱いてる訳ではない、少し逃避をしただけ。


 俺には前世の記憶がある。

 つまり輪廻転生、生まれ変わりという奴だ。


 前世の名前は闇無(くらなし)深雪(みゆき)

 女みたいな名前だが、生粋の日本男児の高校生だ。

 俺の名前のことでバカにしたやつは、きっちり話し合いをさせてもらい理解してもらえた。

 そう俺は男だったんだ、けして女ではなかった。


 まあ、疑うのなら日本人ってとこだろうな。

 俺には親がいない。

 死別ってことではなく、赤子の頃に孤児院の前にネックレスとともに捨てられていた。

 だから、見た目は完全に黒髪黒目の日本人だったが、確実とは言えないって感じかな。

 まあ孤児として育ったが、それなりに幸せな人生ではあった。

 普通に親友もいたし、彼女も……いた時期もありました 。

 ただ、生まれ変わったのなら、俺は死んだのだと思う。

 しかし、いつどのように死んだのか? 気がついたときには異世界で赤ちゃんになっていた。

 事故にでもあったのだろうな。



「…………まぁそれはもういいか」



 そろそろ、これが夢ではなく現実だと認めないといけない。

 だから、今日から新しい人生を生きることにする。


 俺が決意したのは、転生してから4年がたっていた頃だった。




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