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はじまり
この話を読もうとしてくれている、あなたに感謝します。
エヒメは憎しみの感情で、全身がはじけてしまいそうだった。
そして、呪ってやるとつぶやいた。
ことの起こりは、天皇が三野国にエヒメとオトヒメという、たいそう美しい姉妹がいるとお聞きになったことに始まります。
天皇はこの姉妹を自分に仕えさせたいとお思いになり、息子のオオウスノミコトに二人を連れてくるようお命じになりました。
しかし、オオウスノミコトは二人の姉妹を見るやいなや虜になってしまい、別の二人の女を天皇に差しだし、姉妹を自らの妻にしてしまったのです。
美しい姉妹に夢中になったオオウスノミコトは、宮中行事にまじめに参加しません。
天皇は、もう一人の息子で弟のヤマトタケルに兄をさとしてくるようお命じになりました。
小碓命が倭建命と名のるのは、熊曾征伐の後からです。
途中から名前を変えるのはわかりにくいと思い、この話では最初からヤマトタケルでいこうと思います。