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異世界チキンな人造人間(サイボーグ)  作者: 筈佳 椎名
第一章 始まりの歯車
6/10

第六機 黄金色の蚯蚓

そろそろネタ切れ。



『ーおばば殿!拙者に鮭フレークを100グラム!今日はレナリア殿のおごりでござるよ!ー』

「ホントに好きだねぇござるちゃんは。わかったよ、レナちゃんにツケとくからね!200ボルトだよー」


 ちなみにボルトは金の単位らしい。 聞くところによると、金ボルトはひとつで1万円、銀ボルトひとつで千円、銅ボルトひとつで百円、鉄ボルトひとつで10円とほぼ同じ位の価値だそうだ。ちなみに1ボルトは樹脂で出来ている。


「あ、ござるさん早いー!えーと私は……これ!デビルサーモン定食:780ボルト!」

「なんだそれ。食えるのか?」


 聞くからにおぞましい名前だ。他にも「タイタン牛のレバーステーキ定食:850ボルト」や「マントル茄子入り野菜炒め定食:700ボルト」なんかもあった。本当に食えるのかどれも不安だったが、ふと右下の方を見ると地球人には馴染みの「チャーハン定食:300ボルト」や「ラーメン定食:350ボルト」、「ギョーザ:50ボルト」なんかもあった。それにしても凄く安い。


 おばちゃんが先程にやけていたのはきっとこれなのだ。きっとあの人は俺が地球という星から飛んできたことをとっくに見抜いているだろう。

 とりあえずレナから銀ボルトをひとつもらっているので、「ラーメン定食:350ボルト」を押してチケットをおばさんに渡した。


「……やっぱりそれを選んだかぁ。スケちゃん、地球から来たんだろう?」

「……なんで知ってるんすか?」

「知ってるも何も、私も地球から来たからねぇ。そうそう、ジュピターちゃんにも会ったよ。右肩のおっきなネジはジュピターちゃんと会話する奴かい?」

「!!おばちゃん、ジュピターに会ったのか!?」

「声が大きいよ……このことは内緒だからね。いいかい?」

「ウス。そう言えば、何でラーメンとかチャーハンはあんなに安いんすか?」


 そこは凄く疑問だった。そこらの食堂ならもう少しするはずだ。ギョウザ50ボルトはいくらなんでも安すぎる。鮭フレークの4分の1って……


「なんだかねぇ、ここの人達にはあまり受けないらしいんだよねぇ。一応私の顔を立てて出してはいるんだけど」

「ふぅん………」

「じゃあレナちゃん達の方に行っておいで。作ったら持ってくから」


 そう言っておばちゃんはテーブルの方を指さす。レナ達は既にテーブルに移動し、定食を待っているようだった。俺はとりあえずレナ達のテーブルに向かう。


「あ、やっと来た!何話してたの?」

「いや、ちょっとな」

『ーリュウスケ殿まさか、守備範囲は結構上の方でござったか?ー』

「尻尾へし折るぞスケベガニ!」

「まぁまぁ。そう言えばリュウは何定食?私はデビルサーモン!」

「俺はラーメンだ」

『ー「えっ!?」ー』


 レナとござるが同時に驚きの声をあげた。そんなに不味いのだろうか。


「何で驚く?」

「だって、あんなニョロニョロ、」

『ー食べる方がおかしいでござる!ー』


 どうやらこの世界には「麺」という物が存在しないようだ。初めて見る人には、それこそミミズにでも見えるのだろう。


「お前ら、食わず嫌いは良くないぞ。凄い美味しいのに。もったいない」

「ていうか、あの食べるときの二本の棒!」

『ーどうやって食べるのか全く見当がつかないでござる!ー』


 おそらく二本の棒とは「箸」のことだろう。


「よしわかった。今からあれ(ラーメン)の食い方を教えてやろう。ちょうど来たしな」

「はいおまたせー!」


 おばちゃんがラーメンの乗ったトレイを俺の前に置く。メンマ・海苔・チャーシューと三拍子揃ったあっさり系の醤油ラーメンだった。

 ラーメンを見た途端、レナの顔がひきつる。ミミズの先入観からか完全に逃げ腰だ。


「よし見てろ。まずはこの棒は『箸』という物だ。そしてこうやって持って使う」

「ハシ……2本でワンセットなんだね」

「そう。そして……ミミズじゃないぞ?これは『麺』というちゃんとした食べ物だ。小麦粉でできてる」

「小麦粉で!?」

「そうだ。ラーメンというのは、小麦粉を練って糸状にした物を茹でて、味付けしたスープに入れて口の中にかき入れる食べ物なんだ!」

「……うん、そう考えたらなんだか美味しそうに見えてきた!」

『ー拙者も食べてみたいでござる!ー』

「うーん、カブトガニが食えるかどうかはわからないけど、いいんじゃないか?とりあえず小分けにしてやるから、食べてみろよ」


 俺はテーブルの脇に備え付けの小皿に麺を何本かよそい、スープを入れてレナにあげた。ござるには一本の麺を水で洗って金魚鉢に突っ込んでやった。


「最初は箸じゃなくていいから、一気に口にかきこんで!」

「うん………あぐっ!」


 レナは何か決心したかのように目をつむると、小皿の中の物を口に流し込んだ。ござるは一本の麺をむさぼるようにかじっている。しばらくしてからレナは口の中の物を飲み込んだ。

 そしてーーーーーーー



「……………うまい!!!」

『ーうぉぉおおお!!!ー』



 一人と一匹は盛大に叫んだ。


「何これ美味しい!」

『ーツルツルのモチモチでござる!ー』


 どちらもラーメンに感動しているようだ。それは嬉しかったのだが、そのあとレナ達が俺のラーメンをかすめとり全部食べてしまったので、仕方なく俺はレナのデビルサーモンを食べた。意外と美味しいのにびっくりした。



 「じゃあラーメンで腹もふくれたことだし!」

「俺は食ってねぇけどな」

「このあとはおまちかねの外出をしてみたいと思います!」

『ー「よし来た!」ー』


 俺と一緒にござるも叫んだ。


「何で喜ぶんだ?」

『ーいや、最近は全然外出しなかったのでござる、これを期にちょっと散歩に出てみようかとー』

「なるほど、その体だといろいろと大変なわけだ。カブトガニに生まれて損したな!」

『ー無礼な!本当に斬るでござるよ!ー』

「だから何ですぐ喧嘩するの!」


 レナがあわてて止めに入る。すごくしんどそうだったので喧嘩はやめておいた。


「そうだ、ちょっと待ってて。何枚か『強化属性』のコア・チップが完成してるから持ってくる」

「へぇ、チップにも種類があるんだな。待ってるから持ってこいよ」


 そういうとレナは「絶対だよ!」とだけ言い残し、ネルメスに乗って地下に降りていった。




こんなもので皆さんが楽しめたのなら幸いです。

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