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異世界チキンな人造人間(サイボーグ)  作者: 筈佳 椎名
第一章 始まりの歯車
5/10

第五機 ボルト・インパクト

意外な奴が登場!?

詳しくはWEBじゃなくて下を見よう。


 俺達の乗ったネルメス(エレベーターのようなもの)はB棟50階に到着した。AからDの各棟は1階と50階、そして100階にそれぞれ渡り廊下が付いていて、そこから別の棟に行くことが出来るらしい。

 俺達はA棟の25階に行きたかったので、50階の渡り廊下を経由して行くことになった。


「基本的に地下と最上階は工房、1階から40階は公共施設、後の全部はここで働いてる人達の部屋になってるんだ!ちなみにロボットもいるよ?」

「マジかよ!メッチャ見たい!!」


 食堂に向かいながらそんな話をする俺達。そして道中すれちがうメイドさん達はみんな俺の腕や脚を見て驚いている。ロボットはいるのに、サイボーグはこの世界にはいないのだろうか。

 と、そのとき、


『ーお主、見かけぬ顔でござるな。何者だー』


 後ろの方から太い声がした。だがたまにノイズの音が走るので電子音だと思う。ということは………


(ロボットか!?)


 電子音=ロボットのイメージしか頭にない俺は、その音を勝手に解釈してしまった。

 反射的に後ろを振り返る。そこにいたのは…………………



 強いて言えば、大きな金魚鉢だった。

 その直径50センチ位の丸い鉢には一杯に水が入っており、その上下を黒い機械ではさみこむ形になっている。

 そして驚いたことが3つ。


 1つ目は、その鉢が浮いていることだ。近くに寄るとウィンウィンと下の機械が奇妙な音をたてている。きっと下から何か特殊な光線が出たりしているのだろう。


 そして2つ目。それは鉢の中にいる生物(・・)だ。機械からでる謎の音を聞くために近寄ったら、底の方で何かがうごめいたのが見えた。ゆっくりと中を覗くと………


「カ……カブトガニ!?」


 茶褐色の丸い装甲に鋭い尾が1つ。横から見ると、装甲の下から甲殻類特有の足が何本も生えている。俺が小学生の頃、パソコンで見たものと同じ形をした「カブトガニ」がそこにいた。


 さらに驚く事が1つ。


『ーお主、何を好んで拙者を見ているでござるか?気持ち悪いでござるー』


 この「カブトガニ」は喋るのだ。


「シャベッタァァァァアアアア!!!」


 普通のカブトガニが喋るってどういうことだよ!この世界は何でもありなのかよ!?

 俺が喋るカブトガニに驚いた姿を見て驚いたレナが金魚鉢を見る。すると、


「あっ!『ござるさん』じゃーん!!」

『ーお、誰かと思ったらレナリア殿ではござらんか!お久しぶりでござるー』

「え……お前ら、知り合いなの?」


 カブトガニの友達がいるとはレナも顔が広いものだ。


『ー当然でござる!レナリア殿は近くの海岸でひっくり返った拙者を介抱し助けてくれた命の恩人でござる。拙者にこの会話と移動が出来る「まっすぃーん」を作ってくれたのもレナリア殿でござるよ!ー』


 ……うん、何て言うか……………


 すごく武士っぽい話し方するねこの人(人じゃない)!あと英語がひどいことになってるし……


『ーそうだお主、名をなんと申す?ー』

「俺か?俺は龍介だ。お前のことはなんて呼べばいいんだ?カブトガニか?」

『ー無礼な!拙者をそこらのカブトガニと一緒にするなでござる!拙者にはレナリア殿にもらった「ござる」という名があるでござる!本名は谷口充(たにぐちみつる)だけど!ー』

「カブトガニのくせに本名とかあるのかよ!しかも普通!むっちゃ普通!」

『ー何を!リュウスケ殿、斬るでござるよ?拙者の名刀尾「刻闇(こくや)」は斬られし者に恐怖という名の闇を刻むでござる!ー』

「まぁまぁ二人とも、落ち着いて!てか二人とも人じゃないけど!」


 あわててレナが止めに入ってくる。というか人間扱いされなかったことがちょっと悲しい。


「そんなことより、食堂でご飯食べるんじゃなかったの?」

「そうだ、すっかり忘れてた!」


 カブトガニという大きな(変な)衝撃で、飯のことがどこかにいってしまっていた。そのことに気づいた途端、盛大に腹の虫がなった。


「ござるさん、喧嘩やめたら鮭フレーク買ってあげる!」

『ーそれはまことでござるかレナリア殿!?なら止めるでござる!こんな茶番に付き合う暇は無いのでござる!ー』

「ほざけ!」


 とにかくよく喋る蟹だ。鮭フレークで吊られるって………

 とりあえずここからはござるも同行することになり、一緒に食堂に向かった。



『ーお、そこのおなご!可愛い顔してるでござるな……今度拙者と遊ぼうでござる!ー』


 向かう途中に得た情報といえば、ござるがかなりの変態だということだ。

 だが見る目はあるらしく、特別可愛いメイドにしか声をかけないところを見ると、かなりのやり手だと思う。レナ曰く、慣れるしかないそうだ。とりあえずもう一度言おう。こいつ、ただの変態だ!!




   ○●○●○●○●○



 渡り廊下を経由し再びネルメス(3名以上用の大型)で下に降りると、突然開けた空間に出た。どうやらここが食堂らしい。

 奥の厨房と思われる方では、食材を炒める音や水道の音がせわしなく鳴り響いている。カウンター席やテーブル席もあり、厨房の脇には券売機らしき物が置いてある。地球とあまり変わりはないように見えた。


「おばちゃんこんちはー!」

「お、レナちゃん!よく来たねぇ。後ろの僕ちゃんはどちら様で?」


 とりあえず俺の事を言っているらしい。僕ちゃんとか呼ばれたのは初めてだ。


「こんちは。龍介です」

「リュウスケちゃんか、面白い名前だねぇ。そこの券売機で何でも頼めるからね、どんどん食べちゃってスケちゃん!」


 そう言ってニヤッと笑うおばちゃん。その意味がわからなかった。

 スケとか言われたのも初めてだ。だがいずれ慣れるだろうと自分を納得させ、俺とレナは券売機の前に歩いて行った。




こんなものでみんなが楽しめたのなら幸いです。

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