第二機 ネジをなくした神サマ
連続投稿どすえー。
『こんにちはー!』
「…………お、おう、」
俺は仰向けの状態で目を覚ました。
目覚めたらそこは見知らぬ天井……というのを想像したが、それどころではない。見渡す限りの四次元空間みたいな場所だった。下も地面なんか全くなく、上も天井なんかどこまで見ても見当たらなかった。なんともいえないカオスな色が、そこらじゅうにうごめいている。
そして、目の前には金髪碧眼の大人の女性が立っていた。全身の白い衣装に負けないくらいの艶やかな肌。出るところは出ていて、スタイル抜群。背は俺よりちょっと高い位で、胸の自己主張がとにかく激しい奴だった。
彼女はそのご自慢の胸を揺らしてとても嬉しそうな顔をしてはしゃいでいる。大の大人が何はしゃいでるんだか……
「おい、もとの世界で話しかけてきた声ってお前か?」
『うん?そうですよ!』
彼女は俺の声に気付き、元気な声で返してきた。
「もしかしてあのメールの神サマって……」
『はいっ、私が神サマです!いや~、よくあのメールにのってくれましたね。貴方が断ったら、通算85940人目だったのに、ちょっと残念です』
「85940人!?」
そんなに断られてたのか。
「そうか、なんか悪いことしたな」
『いえいえとんでもない!あと何人かでイタズ……救いの手はやめようと思っていましたから、むしろ貴方はラッキーですよ!』
「お前今イタズラって言おうとしただろ!」
「テヘペロ♪」
なんかその女性は、子供をそのまま大人にしたような人だった。まぁ神だけど。神と言うのもなんだか嘘臭い話だが。
「て言うかお前、本当に神か?そうは見えないんだが」
『おや?いい質問ですねぇ。そう、私は神サマ。具体的に言うと、「運命を司る神・ジュピター」。以後お見知りおきを!では、龍介君。貴方がこれからとぶ「世界」はまだ決まっておりません。ここでジュピターから、1つプレゼントです。今から言う3つの「世界」で、どれに行きたいかを選んでください。私が望み通りの「世界」を作ってあげましょう!』
「マジか。それはありがてぇな。変な所にとばされてもつまらねぇしな」
たしかにいい案だった。すごいメルヘンチックな「世界」なんか行きたくねぇ。
『それではいきますよ?まず1つ!「魔法の国・ウィラヌス」!』
「ん?うーん……」
魔法の国。
異世界ではよくある「世界」だ。だが、俺は魔法とかいう不確定的な物は嫌いだ。まだ何もない国の方が良い。
「他には?」
『じゃあ2つ目!「獣人の国・ガルベリカ」!』
「ん~それもちょっとな……」
すごいメルヘンな予感が。一部の奴等は「猫耳猫耳!ハァハァ…」って飛びつくだろうが、俺はちょっと引くかもしれない。
「他には?あと1つあるんだろう?」
『なるほど、ガルベリカにも引っ掛からないですか……でも良いのですか?もう1つはあまりおすすめできないんですけど…』
「一応聞く。何の国だ?」
『まぁいいか。えーと3つ目は、「科学と技術の国・ミレニアム」ってところ』
「ッ!?………おい、お前今何て言った?」
何かすごいことを言った気がする。
『?……科学と、』
「違う、そのあとだ」
『……技術の国ミレニアム?』
「その技術というのは具体的にどんなものだ?」
『ん~……多分、ロボットとかでもいるんじゃないんですかね?』
「よし決めた俺はそこに行く異論は認めないさっさと行くぞ!!」
『ぇえ!?』
やたらオーバーなリアクションをするジュピター。その度に揺れる胸がいちいちウザイ。
「何で驚くんだ?」
『いやいや、貴方こそ何でミレニアムに行きたいの?』
どうやらこいつは俺がミレニアムを選んだことに驚いているようだった。
俺をこの世界に連れてきてくれたのだし、せっかくなので俺は前の世界での自分の惨状をジュピターに聞かせてやることにした。
「…………ということだ。わかったか?」
『なるほど!それなら龍介君が違う「世界」に行きたがったのも、その中でもミレニアムが良かった理由がわかります!』
どうやら納得してくれたようだ。
『それならば話は早いです!じゃあ龍介君の「世界」は「科学と技術の国・ミレニアム」でいいですね?』
「おう!早くしろ!」
『はい!……あ、ちょっと待ってください。はいこれ!』
「……なんだこれは」
俺がジュピターにもらったのは、じゃがいもくらいの大きさのボルトとナットだった。ボルトは既にナットの穴を通っていて、使い道が全くわからない。
『それはただのボルトやナットではありません!ボルトを少し緩めると、私の持っているモンキーレンチに繋がって会話ができるようになります。困ったときは遠慮なく私に相談してください!』
「……なんで工業製品ばっかなんだよ?」
『近くにこれしかなかったもので。まぁ気にしないで行きましょう!』
ここでジュピターが指をパチンと鳴らした。すると、おれ達の目の前にごつい鉄製のドアが出現。ロックの外れるガチンという音があたりに響き、ドアの隙間から蒸気が吹き出してくる。まるで監獄のドアのよう。囚人たちもびっくりのドアだ。
「………これ大丈夫だよね?開けたら出オチはないよね?」
『…………………多分!!』
「なんかすごく不安!?そこは断言しろよ!!」
『なんとかなります!!』
「ったく……まぁいいや。……よし!」
ドアの前に立ち、ドアノブを握る。それはひんやりとしていて、夢ではないことを物語っている。
俺はノブをひねった。ガチッとドアが開く音がする。
もう一度。自分の手で。
新しい世界を手に入れてやる!!
『それでは!!ウェルカム・トゥー・「ミレニアム」!!!』
ジュピターのその声を合図に、俺は精一杯ドアを開け、中へ飛び込んでいった。
街の中にあふれる歯車やエンジンの音。見たこともないような形の乗り物、そしてロボット。
まさに俺が求めていた機械の桃源郷――――――――――――――ではなく。
そんな街の、遥か上空だった。
「…………え!?」
こんなもので皆さんが楽しめたのなら幸いです。




