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お前を倒すまで、僕は負けない!

オーフェルが邪王に向かって走り出す。僕は背中に乗っていつでも魔法が使える体勢になっていた。



「いいか、悟。オルセス様のおかげでお前はもう詠唱なしで魔法が使えるはずだ。思うだけでいい、あいつに叩き込んでやれ!」



「うん!」



(水の第四魔法、『水散弾(クリコルマス)』)



この魔法はクレウスと似てるけどもっと小さく弾数を増やす呪文。僕はそれに更に魔力を込め数十発の尖った氷を放った。



「いっけー!」



僕の合図で氷が一斉に邪王に向かって飛んでいく、邪王はそれを手で振り払ったが僕は更に数を増やしてもう一度放った。



「グオォォォ!」



邪王の体中に氷が突き刺さる。怯んだ邪王の足にオーフェルが噛み付いた。



「何をやってるんだ邪王!そんな奴らお前の相手ではないはずだ!」



その言葉を聞いた邪王は手を尖らせオーフェルの腹に突き刺した。



「っぐ……って~なコラ!これでも喰らえ!」



オーフェルの口から豪炎が邪王を襲った。かなりのダメージが与えられたようだ。邪王が膝を付いた。



「悟、今だやれ!」



オーフェルに言われる前に僕は心の中で詠唱を始めていた。



(雷の第五魔法『落雷(スフォイル・ゼオス)』)



この魔法は指定した場所に小さな落雷を落とす魔法だけど今の僕のは特大の落雷を何度も落とすようになっている。邪王の真上から何度も落雷を落とすと邪王はたちまち動けなくなった。その上にオーフェルが圧し掛かり押さえつける。これで止めだ。



(『水の剣(クリルザン)』、『雷の矛(スフォウルフ)』)



それぞれを両手に携えてそのまま両手を合わせた。



「魔力混合!」



「ほぅ、こりゃすげえな」



魔力混合で出来たのは水と雷の魔力を帯び真ん中が剣の三叉槍だった。僕はそれを邪王の頭に思いっきり突き刺した。



「ギャオォォォォ!!………」



悲鳴を上げる邪王はそのまま煙となって消えた。



「まさか……邪王がやられるなんて……」



「次はお前だ、ゼノム!」



するとゼノムは下を向いて何かをぶつぶつと呟いていた。すると僕らの頭上に黒い玉が現れた。



「ありゃまずい、悟、離れろ!」



オーフェルが体を揺らして僕を振り落とした。次の瞬間に黒い玉が分裂し一気にオーフェルへと降り注いだ。



「くそっ防ぎきれねぇ……」



そのままオーフェルは地面へ倒れこんだ。僕が駆け寄るとかすかに目を開けていた。



「このくらいなら大丈夫だ、俺はまだ戦え……っぐ!」



オーフェルの閉じかけていた目は呻きとともに大きく見開きそのまま静かに閉じていった、見るとゼノムが手でオーフェルの頭を突き刺していた。



「オーフェル……オーフェル!!」



そのままオーフェルも邪王のように煙となって消えてしまった。



「もう……どうでもよくなった。悟君、君にももう用はない。すぐに消してやるよ」



そしてゼノムは呪文を唱え始めた。



『開け、地獄界の扉よ!そして全てを飲み込んでしまえ!』



ゼノムが言い終えると空に大きな穴が開いた。



「あれは地獄界へと繋がる穴だ。君をあそこへ放り込んでそのまま地獄界を消滅させてやる」



そんな事を言っている間に穴は少しずつ広がり森の木も城壁も崩れて飲み込まれていく。そんな時にシュレイナとクロードが目を覚ました。



「う~………え?何よ、どうなってるの!?あの穴は」



「あれは……地獄界の扉だ、ゼノムめ、もうやけになってる。それに悟も…もうオルセス様に会ったのか」



「悟!あたしもそっちへ!」



シュレイナが立ち上がり僕の所へ向かおうとした。



「ダメだシュレイナ!僕は大丈夫だから、みんなを安全なところへ!」



みんなはまだ動けない。これ以上は危険だ。



「安全な所へって、ゼノム、あいつが!」



シュレイナがゼノムへ魔法を撃とうとしたときクロードがそれを止めた。



「離してクロード!あいつはおじいちゃんを!」



「今は悟に任せるんだ、グロッツ様はそんなことを望んでは無いだろ!?」



シュレイナはまた泣きそうになっていたが目をこすり。



「……分かったわ、今は悟に……みんなをここへ」



シュレイナとクロードがみんなを一箇所に集めた。



「あたし達が魔法の結界は張るから、あんたは気にせず戦って!」



「ありがとう、シュレイナ。僕……絶対に勝つから………ゼノム、お前を倒したらあの穴は消えるんだね?」



「あぁ消えるよ、僕を倒すことが出来たらね。でも君の手の内は全て知ってるよ。そんな僕に勝てるのかな」



全てではない、僕はさっき気付いた。それを今使うんだ。ゼノムに向かって全力で走り出す、そして。



「悟君、ついに君もやけになってるね。一体何をするって言うんだい?」



不思議だ、勝手にこれの名前が頭に浮かんできた。それの使いかたも。



白銀(しろがね)の腕輪……発動(インフェイト)!」



腕にはめている腕輪が白く輝き僕を包んみ腕輪が姿を変え剣となった。中にいたオーフェルが消滅したから腕輪が本来の力を取り戻したんだ。剣を振り下ろすとゼノムが自分の腕を黒い剣に変え受け止めた。



「まだ、こんな力があったなんてね」



「お前を倒すまで、僕は負けない!」

いよいよ戦いも終盤です。悟は白銀の腕輪でゼノムを倒すことが出来るんでしょうか?

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