必ず守るから!
~シュレイナの視点~
ゼノムが悟に触れたとたんに悟が気を失ってしまった。
「ちょっと、悟に何をしたのよ!」
息はしてるようだけど、ゆすっても悟は起きなかった。
「彼は僕の計画に必要な人間なんだ、そのためにはなるべく無傷で連れて行きたいから今は眠ってもらってるよ…一時間もしないうちに気が付くだろうけど、それまでに君たちは僕の前に立っていられるかな?」
ゼノムが不適に笑った、悟を一体どうするつもりよ。この子は絶対、あたしが守る。
「こっちだって、簡単にはやられないわよ!」
ゼノムに向かおうとしたあたしをクロードが遮った。
「あなたの相手は彼ですよ」
「っく、クロード、何であんたがこんな事を」
あたしはクロードとの肉弾戦をしつつ質問した。
「こっちにもいろいろと事情があってな、やっとお前に借りを返せるよ、今まで散々俺を蹴ったり殴ったり……」
「それはあんたがあたしの言う事聞かないからでしょうが!」
と言って一発顔面にお見舞いしてやった。
「っつて~!それが理不尽だって言ってんだよ!」
すかさず向こうも蹴りを入れてきたが何とかあたしは腕でガードしあたしは反撃せず気付いたら口だけが動いていた。
「理不尽って何よ!?これでも最近は気を使って地から抑えてるんだからね!」
そしてクロードも手を動かさず反論してきた。
「アレで抑えてる?前より強くなってる気がするけどな、ホントに女かよって感じだ」
「あんたね~!」
「何だよ!?」
そのまま口げんかをしていると見かねたゼノムがクロードに命令した。
「クロード君、いい加減手を動かしてくれ。それじゃあいつまでたっても倒せないじゃないか」
「は、はい」
その言葉に気が付いたように攻撃を始めたクロード。
「さて、僕は悟君を連れて行こうかな」
しまった、ゼノムが悟の方へ。すると悟の前へ一人の男が立ちふさがった。
「悟はやれねえよ、俺が相手だ」
「また君が相手ですか…カルマ君、君が来たって事はみんなはもうやられちゃったんだね」
「あぁ、お前が与えた魔力増強の石なんて無くてもな、あいつらは全員勝ったさ!」
ゼノムがやれやれと言ったような顔で。
「仕方ない、この力までは使いたくなかったんだけどなぁ。みんなが余りにも頼りないから使わざるえないじゃないか」
一度目を閉じ再び開いたゼノムの目はさっきと少し違った。
『サティス・ロクマス・ミルティコル…今こそ内なる闇を解き放て』
そう呟くと、さっきまでの目に戻った。一体何をしたっていうの?
次の瞬間、さっきまで消えかけていた魔力がまた膨れ上がり邪悪なものを感じた。まさか!
「気が付いた?そうさっきまで戦ってた子供たちを少しだけ強化したんだ。今頃君の方の子供たちは、大変だろうね」
その頃、大介・陸斗・葵・アリシアはそれぞれのパートナーに見つけてもらい四人が合流していた。そこには奏魔もいた。
「え、何でお前が?」
大介が奏魔に指を差して質問する。
「いろいろあってな、俺っちがアリシアちゃんを助けたんだよ」
そしてカネアが奏魔の肩に手を置くと。
「話の途中で悪いけど、この子はすぐに人間界へ帰らないといけないわ」
「そっか、もうちょいここにいかったんだけどなぁ。んじゃ、俺っちは一足先に帰ってるぜ!」
そういうと奏魔は少しずつ透明になっていき完全に消えた。
「ありがとうございました、奏魔さん」
何人かは疑問符を浮かべている中、大介が異変に気付いた。
「おい見ろ、あいつら…こっちに向かってきてるぞ」
さっき倒したはずの敵たちが再び起き上がって俯きながらこちらに近づいてきた。
それぞれが首から提げていた黒い光を放ち体を包み込んだ。そしてその中から出てきたのは。
「……ギャオォォォォ!」
いきなり叫んだと思うとその顔はまるで。
「これって牙獣族…じゃない、もっと嫌な感じがする」
全身が牙獣族のような獣と化していた。
「一体何やねんこいつら!?」
「わかんないけど……この状況ってやばいんじゃないの?」
「私たちに、もう魔力は残ってないのに」
それぞれが思った、さっきよりも確実に強いと。
「ここは、私たちが引き受けるわ、あなた達を必ず守るから!」
四人を守ろうとしたのはそれぞれのパートナーだった。
「待てや、あんたらかてさっきまで牙獣族と戦ってて魔力を消費しとるんちゃうんか?」
「それでも……あなた達を守るくらいは、出来るわ」
「カネアさん……」
四人ははただ見守ることしか出来なかった、しかし初めの方は善戦していたが次第に力の差がでてきて。みんな倒されてしまった。そして再び近づいてきた。
「ちょっと待ちなさいよ……私のアリシアに近づくんじゃないわよ」
倒れながらもカネアは相手の足を掴み先へは行かせまいとしていた。そしてみんなは再びボロボロになりながらも立ち上がり、しがみ付いた。
「さぁ今のうちに逃げなさい!」
しかし力任せに振り払われついに尖った手でとどめをさしそうと腕を振り上げた。
「もう、やめてくれ」
「ウチらが、相手したるから」
「手え出すなよ」
「お願いします」
それぞれの声も届かず手が振り下ろされそうになったそのとき。
『『やめろー!!』』
久しぶりのパートナーの登場でしたが、ほとんど活躍の場を作ってあげられませんでした、やっぱりキャラが増えすぎてしまいましたね。次回は四人が再び戦います。