表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/82

あいつだけだった

俺っちは最初に魔力をもらったときに召還魔法を教えてもらった。初めはまったくだったけど数日でマスターした、これにはパートナーも驚いていて、すぐにもう一つの属性での召還魔法も試みた。すぐではなかったがこれもマスターした。俺っちは思った。これで俺っちに敵はいない、と。けどそれはすぐに砕け散った。あいつに負けた、それも完璧に。俺っちはこんな楽しい戦いはもう二度と出来ないと思ってたけど……。



「カルマに感謝だな、もう一度ここで戦えるなんてな、さぁやろうぜ、ジャロウ。グレアは一旦休憩だ」



俺っちが指示するとグレアは崩れてただの土くれになった。



「どれだけ使えたって同じだよ!『黒炎暴破(ラグラ・ルガムト)』!」



黒炎の玉が俺っちたちの周りを囲んだ。



「終わりだ!」



「ジャロウ、加速だ」



「ガゥ」



小さく返事をし俺っちが背中へ乗るのを確認するとその場から一瞬にして移動した。やっぱ豹って言うからには速いなぁ。速いけどグレアほどのパワーは無い。けど……。



「ほらっ。どんどん来なよ!」



「ちょろちょろと動き回って、面倒だなぁ」



それから何発かさっきの黒炎の魔法を使ってきたけど疲れてる気配は無い。魔力切れはないか、カルマの言ってたあの石か。



「じゃあ俺っちも出し惜しみは無しだ!カルマ、使わせてもらうよ!」



俺っちはカルマにもらった三角錐の石を取り出しジャロウの雷の体に押し込んだ、そして。



「我が『地』の属性よ。我が下部の一部となれ」



ドックンとジャロウが何かに目覚めたように目を見開くと唸りだした。



「グウゥゥゥ……グロオォォォ!」



するとジャロウの体が所々黒く変色し始め色が変わったところが鋼鉄のように硬くなっていった。



「何だよそいつ!何をした!」



「俺っちはジャロウに地の属性を加えたんだ、これはそうだなぁ……地属性のアーマーってとこかな」



「それってまさか、魔力混合か?」



「いんや、ちょっと違うな、俺っちの場合は地の魔力の核を体にそのまま入れたんだ」



カルマにもらった石は自分の魔力の核となる部分を込めて蓄えられるもの。それを加えた呪文は魔力混合よりも強い魔法となる。



「当然リスクもあってこれを使うと俺っちは二度と地の魔法を使えなくなっちまうんだけどな。もう十分に楽しんだからいいや!行け、ジャロウ!」



ジャロウが男に突進していく。



「くそっ来るな!」



男は次々に魔法を唱えるが全くあたらず、あたったとしても地属性のアーマーでびくともしない。



「こうなったら……全員道ずれだ!『黒炎撃爆破(ラグラ・レガロマンド)』!」



男の真上に特大の黒炎の玉が出現した。あれにが落ちたらこの辺一帯が全て焼かれるな、でも。



「あんたを倒すのは俺っちじゃないよ」



「何!?」



「ジャロウ、加速だ」



「ガゥ!」



ジャロウは更に加速しあっと言う間に男の横を通りすぎた。



「アリシアちゃん、ジャロウごと撃っていいよ、こいつの魔力があんたの力になるから」



「ありがとうございます、奏魔さん、私も自分のやれることが見つかりました」



アリシアちゃんは水と風の矢を二本同時に構えていた。あの二本にジャロウが加われば……。



「お前ら!やめろ!」



男は叫んだがアリシアちゃんの手は迷い無く矢を放ちそれはジャロウを貫いてそのまま男に向かって一本の矢となった。



「このおぉぉ!」



男は両手で支えていた黒炎の玉を矢に向かって投げたが矢はそれを難なく打ち消した。



「4つの魔力の混合だ、そう簡単に負けるかよ」



そして矢が男を貫き外傷は無かったが男は気絶した。けど俺っちもアリシアちゃんも、もう魔力切れかな。そこへカルマがやってきてアリシアちゃんに駆け寄った。



「よく頑張ったな、アリシア。奏魔もありがとな!」



「ふぅ、後はあいつが……何とかする番だな。俺っちはもう疲れたよ」



「そうだな、後は悟と……シュレイナか、クロードのやつ」



~時は悟たちへ~



「さっきまで感じてた魔力が消えた……みんなが勝ったのね!」



シュレイナが唐突にそんな事を言い出した。



「みんなが、勝ったの?」



「うん、けどみんなの魔力もほとんど無い状態ね、それにアリシアちゃんの近くにいるこの魔力、面白い子が来たみたいね」



(面白い子?それって誰だろう)



僕が考えていると前方に二つの人影が見えた。



「シュレイナ!」



僕がシュレイナを見たときはすでに真剣な顔だった。僕らの前に現れたのはクロードとゼノムだった。



「ついに来たわね」



「……うん」



僕がずっと二人を見ていると……。



「………え?」



気が付くとゼノムの方が視界から消えていた。



「遅いよ、悟君。君は少し眠っててくれ」



振り向くとそこにはゼノムがいて、手から黒い波動のようなものが出てそれを僕の体に当てると……。



「ゼ……ノム」



意識が遠くなった。










そこから何が起こったかはわからなかったけど僕が目を覚ましたのは少し後の事だった、目がさめるとそこは信じられない光景だった。



「みんな?これって……」



そこには兵士も牙獣族も他のみんなもシュレイナもクロードも敵も味方も立っている者は誰一人居なかった。しかし一人の少年だけがそこに立っていた。



「あぁ目が覚めたかい?悟君」



あいつだけだった。

ずっと見てると悟君は主人公なのに気絶してばっかりですね。もう何でもありって感じがします。次回は悟君が気を失ってからシュレイナの視点で話を進めていきます。一体みんなの身に何が起こったのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ