まだまだこれからだよ
~奏魔の視点~
悟に負けてから俺っちはその日のうちに人間界へ戻されそこは見慣れた風景だった。
「あれ?俺っちは何してたんだっけ?確か学校から帰る途中で……ま、いっか」
俺っちはそのまま家に帰ってゴロゴロしていた。
「何か引っかかってるんだけどなぁ、ダメだ思い出せない!」
すると目の前の壁がいきなり光って、丸い穴が開いた。
「え、何だよこれ!?……でも、何か……思い出しそうな……」
するとそこから変な服を着た男が現れて俺っちの腕を掴んだ。
「話は後だ!すぐに来てくれ」
そう言うと男は俺っちをその穴の中へ連れて行こうとした。初めは抵抗したけど、すぐにやめた。
「何だ?急に静かになったな」
「何か面白そうだから……行ってやるよ!」
そう言うと男はニッと笑い。
「そりゃあ頼もしいな、なぁに向こうに行ったらすぐに思い出すさ」
「向こうって、どこだよ?」
「ん?…天界」
天界?向こうに行ったらすぐに思い出す?なんだかわかんねぇけど……これは行くっきゃないな。
光の中を少し歩くと出口が見えた、アレが天界の入り口か。
「うわぁ」
そこは一面草原だった。そして……俺っちは全て思い出した。
「移動しながら説明する、つかまれ」
「その前に聞いていい?」
「何だ?」
「何で俺っちをまたつれてきたの?」
「アリシアを助けてやってくれ、今のあのだけ子じゃ多分、勝てない……行くぞ!」
そう言うと男は呪文を唱え加速し目的地へ向かった。その間に俺っちはいろんな話を聞いた。地獄人の事、今行われてる戦争の事、そして……俺っちも戦いに参戦してアリシアって子を助けに行くこと。
「さぁ着いた、あの辺でアリシアが戦ってるはずだ、行ってやってくれ」
「ありがと!また戦いが出来てよかったよ!お兄さん、名前は?」
「カルマ、『カルマ・グレッタ』だ」
「サンキューカルマ!じゃあ俺っち行って来るかな」
俺っちが走り出そうとすると。
「そうだ、これを持っていけ、一度だけだが君に力を貸してくれるだろう」
と言って、三角錐の小さな石をくれた。
「これは?」
「あぁそれはな………」
~そして現在~
「と言う事だ、俺っちが戦ってる間にあんたはその矢に魔力を溜めときな」
「え、でも…」
「大丈夫だって、俺っちだって倒せるとは思ってねえけど……時間稼ぎにはなるだろ」
私の全ての魔力を込めた矢でも倒せるかどうか……けど今は私のやるべき事を。
「よし、始めたな。っつ~訳で俺っちがあんたの相手だ、楽しくやろうぜ!」
「お前って確か二回戦で悟とか言う奴に負けたんだよな?それなら大したこと無いな、まとめてやってやるよ。『黒炎暴破』!」
さっきのアレか、俺っちも全力で行かないとな。早速使うか。
「大いなる地の下部よ『汝』その姿を俺っちに従う地人に変えよ。現れろ!グレア・ゴーレム!」
呪文を唱えると地面が盛り上がりゴーレムが姿を現した。
「ぐおぉぉぉぉ!」
「なぎ払え!」
俺っちが命じるとグレアが岩で出来た腕で黒炎の玉をすべてなぎ払った。
「よっしゃ!いいぞグレア!」
しかしなぎ払った後のグレアの腕は崩れていた。
「何だよ、ざまあねえな!すぐにボロボロにしてやるよ、お前もそのゴーレムもな」
けど俺っちはこれくらいじゃ動じないよ。
「忘れたの?俺っちのグレアは何度でも再生するんだよ」
そう言ってるうちにグレアの腕は見る見るうちに再生していく。そして今度は相手の男に襲い掛かる。
「厄介な能力だが……遅いな」
男はその場から消えた。
「どこ行った!?」
「あいつのパワーと再生は厄介だがノロマな攻撃を避けて本体に直接攻撃すれば何てことないな」
しまった、背後を。
『炎撃』!
男が呪文を唱えると爆炎が起こった。
「うわっ!」
くそっ。やっぱこいつ強いや、こうなったら……。
「何だ?まだ何かやんのか?」
「あぁやってやるよ、とっておきのをな」
アリシアちゃんを助けた時もこいつを使った。俺っちの、もう一つの…。
「大いなる雷の下部よ…」
「何!?こいつまさか」
上級呪文だ!。
「『汝』その姿を疾速の獣へと変え姿を現せ。雷豹ジャロウ・レオパルド!」
俺っちが唱えると左手から雷が溢れ出しその姿を雷を帯びた豹に変えた。
「これが俺っちの、もう一つの上級魔法だ。まだまだこれからだよ」
まさかの奏魔の戦いが二話も続くなんて思ってませんでした(汗)次回、アリシア&奏魔の戦いの決着です。ちゃんとアリシアちゃんも戦います!